著作権重要判例要旨[トップに戻る]







芸能プロダクションの過失責任を認定した事例
「『キミへ続く空』無断改変演奏事件」平成230629日東京地方裁判所(平成22()16472 

【コメント】本件は、原告が、芸能プロダクションである被告会社及びその取締役かつ所属する歌手である被告Bに対し、原告が、作詞作曲し著作権・著作者人格権を有すると主張する音楽の著作物(本件著作物:「キミへ続く空」と題する歌)について、被告らが共同して、原告の許諾を受けずに、@同著作物を演奏・歌唱して(被告楽曲:「僕たちにできる事〜キミへ続く空〜」と題する歌)、原告の演奏権(著作権法22条)を侵害した、A被告Bの管理するブログに同著作物を掲載し、原告の公衆送信権(送信可能化権を含む)(同法23条)を侵害した、B同掲載に当たり、作詞作曲者を「C」と表示し、原告の氏名表示権(同法19条)を侵害した、C同掲載に当たり、題名・歌詞の一部を改変し,原告の同一性保持権(同法20条)を侵害したと主張して、著作権及び著作者人格権の侵害に基づく損害賠償請求(民法709条、710条、719条、著作権法1143項)として、連帯して、損害賠償金等の支払を求めるとともに、被告Bに対し、名誉回復等の措置(同法115条)として、上記ブログへの謝罪文の掲載を求めた事案です。 

(2) したがって,被告らは,本件著作物について著作権及び著作者人格権を有する原告の許諾を得ることなく,上記@〜Cの行為に及んだものであるから,被告らは,@平成18122日,エイズチャリティコンサートにおいて,本件著作物に依拠した被告楽曲を演奏,歌唱したことにより,原告の本件著作物の演奏権(著作権法22条,28条)を侵害し,A平成211116日,本件著作物に依拠した被告楽曲を演奏,歌唱した映像及びかかる被告楽曲の歌詞を,被告ブログに掲載し,自動公衆送信したことによって,原告の本件著作物の公衆送信権(送信可能化権を含む)(同法23条,28条)を侵害し,B被告ブログへの上記掲載の際,「作詞作曲:C」と記載したことにより,原告の本件著作物の氏名表示権(同法191項前文,後文)を侵害し,C本件著作物の題名,歌詞の内容の一部を改変したことにより,原告の本件著作物の同一性保持権(同法20条)を侵害したと認めるのが相当である。
(3) そして,…によると,被告Bは,被告会社に所属する歌手であり,被告Bによる芸能活動及びこれに付随する活動は,同被告及び被告会社双方の了解に基づいて行われていることが推認されること,被告Bは,被告会社代表者のC及び取締役のDとともに,被告会社の役員であること,本件において,被告Bは,エイズチャリティコンサートにおいて,本件著作物に依拠した被告楽曲を歌唱するとともに,被告Bの名義による被告ブログにおいて,上記の歌唱の映像及び被告楽曲の歌詞の掲載に関与したものであり,被告会社も,本件著作物の使用が可能となるよう,著作権及び著作者人格権を有する原告との間で交渉を行ったり,被告ブログの掲載等の管理に関与していたこと,本件著作物の歌詞の改変においては,被告B,被告会社代表者及びDが関与していたことがそれぞれ認められるから,被告らの前記各行為には,客観的関連共同性(民法7191項前段)が認められる。
 [故意過失について]
 本件において,被告会社は,芸能プロダクションであるから,他人の著作物を利用する際には,その著作権及び著作者人格権を侵害することのないよう,その著作権及び著作者人格権の帰属を調査の上,事前に,演奏することや公衆送信が可能な状態に置くこと,(原)著作者名を表示すること,表題や歌詞を改変すること等について許諾を得るよう注意を尽くす義務があるところ,被告会社代表者は,中目黒のダーツバーにおいて原告及びEと協議した際,本件著作物の著作権及び著作者人格権の帰属について,歌詞は原告が著作者であることを認識し,楽曲については,原告及びEが作曲の経緯について話していたにもかかわらず,著作権等の権利の帰属について十分に聴取等しなかったものであり,また,本件著作物については,エイズチャリティコンサートのエンディングにおいて,メロディラインのない伴奏部分のみを使用することの許諾を得ただけであったにもかかわらず,包括的な許諾を得たものと軽信し,漫然と本件著作物を使用して,(上記)の各行為に及んだのであるから,被告会社には,少なくとも過失があったというべきである。
 
また,被告Bについては,被告会社に所属する歌手であるとともに,被告Bの名義による被告ブログの管理に関与していたものであり,被告会社の役員として,自らが使用する他人の著作物について,被告会社が負う上記注意義務に関して,被告会社代表者が行う業務執行一般について監視する義務を負うものと解されるところ,被告Bは,被告会社が本件著作物の音源の複製物,歌詞及び伴奏の譜面等の提供を受けたことのみから,許諾を得たものと軽信し,本件著作物を使用して,(上記)の各行為に関与したものであるから,被告Bにおいても,少なくとも過失があったと認めるのが相当である。











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