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損害賠償の準拠法(4)-中国を本国とする映画著作物に係わる事例-
DVD『中国の世界遺産』事件」平成230711日東京地方裁判所(平成21()10932 

【コメント】本件は、中国中央電視台(中華人民共和国の国営放送。以下「CCTV」。)のグループ会社で中華人民共和国法人である原告が、CCTVの放送用として製作された「中国世界自然文化遺産」と題する記録映画の著作権を有するとして、被告の製作・販売に係る「中国の世界遺産」と題するDVDが当該記録映画を複製又は翻案したものである旨主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償金等の支払を求めた事案です。 

 著作権法による保護と準拠法について
(1) 著作権法による保護
 我が国と中華人民共和国は,文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(以下「ベルヌ条約」という。)の同盟国であるところ,本件各原版は,中華人民共和国の国民が著作者であり,同国において最初に発行された著作物であると解されるから,同国を本国とし,同国の法令の定めるところにより保護されるとともに(ベルヌ条約2(1)3(1)5(3)(4)),我が国においても著作権法による保護を受ける(著作権法63号,ベルヌ条約5(1)。また,ベルヌ条約14条の2(2)()は,映画の著作物について著作権を有する者を決定することは,保護が要求される同盟国の法令に定めるところによると規定する。)。
(2) 準拠法
 原告は中華人民共和国法人であり,被告は日本法人であるから,準拠法が問題となるところ,著作権侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求については,本件において,原告が本件各原版の複製権又は翻案権が侵害され,被告各DVDが販売されたと主張するのは我が国であるから,「原因タル事実ノ発生シタル地」(法例〔平成11年法律第151号による改正後のもの。以下同じ。〕111項),「加害行為の結果が発生した地」又は「加害行為が行われた地」(法の適用に関する通則法17条〔平成1911日施行〕,同法附則34項参照)として,日本法が準拠法となる
 また,被告が著作権侵害を否定する根拠とする本件各原版についての利用許諾の有無については,債権的な利用許諾契約の効力が問題となるところ,本件各原版の利用許諾の有無に関わる合意については,本件意向協議書,本件基本個別協議書,本件終了協議書及び本件原版供給契約に基づく合意が存在する。これらの各契約に基づく合意は,いずれも法の適用に関する通則法施行前の行為であるから,その成立及び効力を判定するについては,法例の適用が問題となるところ,法例71項は,「法律行為ノ成立及ヒ効力ニ付テハ当事者ノ意思ニ従ヒ其何レノ国ノ法律ニ依ルヘキカヲ定ム」,同条2項は,「当事者ノ意思カ分明ナラサルトキハ行為地法ニ依ル」と定めている。本件原版供給契約については,準拠法の合意はないものの,日本法人が日本国内で締結したものと認められ,その成立及び効力の準拠法は日本法と解される。本件意向協議書については,「本協議書は中華人民共和国の法律にのっとって解釈し,中華人民共和国の法律の管轄を受けるものとする。甲が訴訟の原告となる場合には中国,乙,丙が訴訟の原告となる場合には日本と定める。」(25.1)とされており,これは準拠法の定めと解釈されるところ,上記甲は原告と解されるから,本件意向協議書の成立及び効力の準拠法は中華人民共和国法となる。また,本件基本個別協議書の準拠法についての合意は定かでなく,本件終了協議書には準拠法についての合意はないことから,行為地法である中華人民共和国法を準拠法と解するのが相当である。そして,中華人民共和国著作権法241項は,「他人の著作物を使用するときは,著作権者と使用許諾契約を締結しなければならない。本法の規定により許諾を要しない場合はこの限りでない。」,同条2項は,「使用許諾契約には,主に次の各号に掲げる内容が含まれる。」(各号は省略)と規定している。
(3) 以下,これらを前提に検討する。











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