著作権重要判例要旨[トップに戻る]







ファイル共有ソフトによるファイルの交換が問題となった事例
「‘Gnutella互換ソフトウェア’発信者情報開示請求事件」平成231129日東京地方裁判所(平成23()22642 

【コメント】本件は、レコード製作会社である原告らが、インターネット接続プロバイダ事業を行っている被告に対し、原告らが送信可能化権(著作権法96条の2)を有するレコードが氏名不詳者によって原告らに無断で複製され、被告のインターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態に置かれたことにより、原告らの送信可能化権が侵害されたと主張して、被告に対し、プロバイダ責任制限法41項に基づき、上記氏名不詳者に係る発信者情報の開示を求めた事案です。 

 被告の利用者による原告らの送信可能化権の侵害の有無について
(1) 送信可能化とは,公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力するなど,著作権法219号の5イ又はロ所定の方法により自動公衆送信(公衆送信のうち,公衆からの求めに応じ自動的に行うもの。著作権法219号の4)し得るようにする行為をいう。
(2) そこで検討するに,…によれば,次の事実が認められる。
ア Gnutellaネットワークについて
 Gnutellaネットワークとは,ファイル共有ソフトであるGnutellaという名前のソフトウェア及び同ソフトウェアと共通するプロトコルを持つファイル共有クライアントソフト(LimeWire,Cabos等)のユーザーが,インターネットに接続しているパソコンにこれらのソフトウェアを組み込むことで,これらのソフトウェアを起動しているユーザー同士が互いのハードディスクにあるファイル(情報)を相互に交換することができるネットワークのことをいう。
 Gnutellaネットワークでは,ある利用者が検索キーワードを送信すると,同キーワードをファイル名に含むファイルに関するキー情報(当該ファイルを保有している利用者のIPアドレス,ポート番号,ファイル名等)が返信される。上記利用者は,上記キー情報の中から,同人の希望するファイルを保有しているノードのIPアドレス及びポート番号を選択し,同アドレスに対してダウンロード要求を行う。当該ファイルが公開状態にある場合,同要求に応じて,当該ファイルを保有しているノードから,上記利用者に対し,要求されたファイルが自動的に送信される
イ 「P2P FINDER」について
 「P2P FINDER」とは,株式会社クロスワープ(以下「クロスワープ社」という。)が開発したインターネット上の著作権侵害検出システムであり,Gnutellaネットワークその他の各種P2Pネットワークに接続し,同ネットワークにおいて流通するファイル(ダウンロードされたファイル)及びダウンロード時の情報(送信元となったノードのIPアドレス,ポート番号,ファイルハッシュ値,ダウンロード完了時刻等)を収集,分析等するものである。
 クロスワープ社は,平成15年から「P2P FINDER」を稼働し,レコード会社等から依頼を受けて,同システムを使って,設定されたキーワードに基づき,市販されているCDの音源が各種P2Pネットワーク上で公開されているかどうかを検索している。
ウ クロスワープ社による調査
 クロスワープ社は,原告らから依頼を受け,「P2P FINDER」を使用して,キーワード名を,原告各レコードの実演家である「RADWIMPS」,「西野カナ」,「aiko」,「perfume」,「いきものがかり」,「コブクロ」,「ヒルクライム」及び「浜崎あゆみ」として検索した。
 その結果,前記[原告らの主張](1)アないしト記載のIPアドレスから本件ファイル1ないし20(以下「本件各ファイル」という。)が送信され,同項記載の時刻に本件各ファイルのダウンロードが完了したことが確認された(以下「本件調査結果」という。)。
エ 本件調査結果の信用性
() クロスワープ社は,平成226414時から同月814時までの間及び同年7219時から同月513時までの間の2回にわたり,次のとおり,「P2P FINDER」のデータベースに記録されたファイルの発信元のIPアドレス(インターネットに接続する際にインターネット接続プロバイダから割り当てられるグローバルIPアドレス)が実際の送信元のIPアドレスと一致しているかどうかを確認する試験(以下「本件確認試験」という。)を行った。
() 本件確認試験の実施手順は,次のとおりである。
 (略)
() 本件確認試験の結果は,以下のとおりである。また,本件確認試験における実験システムの構成について,特段不合理な点は認められない。
 (略)
(3) 本件確認試験の結果等によれば,「P2P FINDER」による検索結果,すなわち本件調査結果については,その信用性を疑わせるような事情は見当たらず,信頼を置くことができるものと認められる。
 
したがって,本件調査結果に基づき,前記[原告らの主張]…,すなわち,@本件各利用者は,原告各レコードを複製し,この複製に係るファイル(本件各ファイル)をコンピュータ内の記録媒体に記録・蔵置した上,当該コンピュータを,被告のインターネット接続サービスを利用して,被告からIPアドレスの割当てを受けてインターネットに接続したこと,Aそして,本件各利用者は,Gnutella互換ソフトウェアにより,本件各ファイルを,インターネットに接続している,本件各利用者からみて不特定の他の同ソフトウェア利用者(公衆)からの求めに応じて,インターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態にしたこと(すなわち,原告らの原告各レコードに係る送信可能化権を侵害したこと),が認められる











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