著作権重要判例要旨[トップに戻る]







DVDの製造販売業者の注意義務
テレビ映画月光仮面』無断複製事件」
平成231129日東京地方裁判所(平成23()17393 

【コメント】本件は、テレビ映画の企画・製作及び販売並びに映像著作物の版権管理及び利用開発等を業とする原告が、CDDVDの製造販売等を業とする被告において、故意又は過失により、原告から許諾を得ることなく、原告が著作権を有するテレビ映画作品「月光仮面」及び「快傑ハリマオ」をDVDに複製するとともに頒布することで原告の複製権及び頒布権を侵害したとして、被告に対し、著作権法1121項に基づきDVD商品の複製及び頒布の差止めを求めるとともに、著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償を求めた事案です。

 なお、「原告の著作権と被告によるDVDの複製・頒布等」については、以下のような事情がありました。

『ア 原告は,平成18年当時,「本件両作品」等の著作権を有していた。
イ 原告は,平成1812月ころ,「アートステーション」との間で,原告がアートステーションに対して本件両作品等のDVDへの複製とその頒布を同月1日から平成201130日まで許諾し,その対価として,アートステーションが原告に対し,テレビ映画作品「月光仮面」第1部「どくろ仮面」5巻について最低保証金合計125万円(1巻につき25万円)を,テレビ映画作品「快傑ハリマオ」第5部「風雲のパゴダ」4巻について最低保証金合計100万円(1巻につき25万円)を,それぞれ支払うとともに,1巻の販売総数が5000枚を超えた場合はその超えた分について1枚当たり25円のランニングロイヤリティを支払うなどといった内容のライセンス契約(金額はいずれも消費税別。以下「本件契約」という。)を締結した。
ウ アートステーションは,本件契約締結後,「サイドエー」に依頼してテレビ映画作品「月光仮面」及び「快傑ハリマオ」のうち本件両作品以外のものをDVDに複製してもらい,これらを被告に販売していた。
 しかし,サイドエーが倒産したため,アートステーションは,以後,被告に依頼してテレビ映画作品「月光仮面」及び「快傑ハリマオ」のうち本件両作品以外のものをDVDに複製してもらうようになったものの,被告に対して製造費を支払わなかった。このため,被告は,複製したDVDを販売しながら製造費を回収している
エ 被告は,平成206月ころから平成233月までの間に,本件両作品を14000枚のDVDに複製するとともに,これらを「本件各商品」として全部販売した。』 


1 争点@(被告はアートステーションから本件両作品の複製及び頒布に係る利用権を得たか)について
 …によれば,アートステーションが被告との間で,平成20613日には,アートステーションが被告に対してテレビ映画作品「月光仮面」第1部「どくろ仮面」5巻のDVD25000枚への複製とその頒布を許諾し,その対価として,被告がアートステーションに対して映像使用料125万円(1巻につき25万円)を支払う旨のライセンス契約を締結し,同月20日には,アートステーションが被告に対してテレビ映画作品「快傑ハリマオ」第5部「風雲のパゴダ」4巻のDVD2万枚への複製とその頒布を許諾し,その対価として,被告がアートステーションに対して映像使用料100万円(1巻につき25万円)を支払う旨のライセンス契約を締結したことが認められる。
 しかしながら,…によれば,アートステーションは,本件契約31項により,本件両作品の複製及び頒布の再許諾を禁じられていたことが認められる。
 したがって,被告は,アートステーションとの前記ライセンス契約によっては本件両作品の複製及び頒布に係る利用権を得ていないというべきであり,他に被告が本件両作品の複製及び頒布に係る利用権を得たことを認めるに足りる証拠はない。
2 争点A(被告の故意・過失)について
 …によれば,@アートステーションがサイドエーや被告に複製させていたDVDのパッケージには,「<>宣弘企画」などと,原告を著作権者とする表示が付され,これを被告は認識していたこと,A被告は,本件各商品のパッケージにも,「<>A 宣弘社」と,原告を著作権者とする表示を付していたこと,Bアートステーションの代表取締役であるBは,被告との間で前記ライセンス契約を締結した後,被告に対し,被告から支払われた映像使用料の半分を原告に対して支払った旨繰り返し説明していたことが認められる。これらの事実を総合すれば,被告は,原告が本件両作品の著作権を有していることやアートステーションが本件両作品の著作権を有していないことを知っていたものと推認することができる
 しかしながら,アートステーションが本件両作品の複製及び頒布に係る再許諾権を有していないことを被告が知っていたことを認めるに足りる証拠はない。もっとも,…を総合すれば,@DVDの製造・販売業界では,再許諾を認めると,ライセンス対象物の管理や広告宣伝,パッケージの表示内容,品質管理が困難となるため,再許諾を禁じるのが通常であること,Aアートステーションは,被告との間で前記ライセンス契約を締結した当時,資金繰りに窮しており,被告への製造費も支払えなかったことが認められる。
 以上の事実を前提とすれば,被告は,DVDの製造販売業者として,原告に対してアートステーションへの再許諾権付与の有無を問い合わせたり,アートステーションに対してライセンス契約書を提示させたりして,アートステーションが上記再許諾権を有しているか確認すべき注意義務を負っていたものといえる。
 そうであるにもかかわらず,…によれば,被告は,原告に対してアートステーションへの再許諾権付与の有無を問い合わせたり,アートステーションに対してライセンス契約書を提示させたりしていないことが認められる。
 したがって,被告には,原告が本件両作品について有する著作権(複製権及び頒布権)を侵害したことにつき,過失があるというべきである。
 (略)
4 結論
 
以上によれば,原告の請求は,被告に対し,本件各商品の複製及び頒布の差止めを求めるとともに,損害賠償金808500円及びこれに対する不法行為の後の日である平成23611日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。











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