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利用許諾契約の解釈(28)
「‘福助’販促ツール事件」平成240112日大阪地方裁判所(平成21()3102 

(3) 著作権の譲渡,複製等の許諾
 被告らは,仮に,本件デザイン画が著作物と認められるとしても,原告から著作権の譲渡を受けたか,複製等の許諾を得ていると主張するところ,念のために,上記主張について検討しておくこととする。
ア 著作権の譲渡
 著作権の譲渡を認めるに足りる証拠はないというべきである。
 被告らは,著作権の譲渡を受けたと解するべき事情として,本件デザイン画の画像データの納品を受けたことを挙げるが,これは,著作物の複製等を許諾した場合の事情とも解することができ,これのみをもって,著作権譲渡を認めることはできない
イ 著作物の複製等の許諾
 被告らは,07AWツール(管理人注:「2007年秋冬用の販促ツール」をさす。)では,ミヤビデザインに制作させ,販促ツールのデータの交付を受け,これをエスアートに印刷させ,販促ツールのデザイン画を複製している。しかし,これらの印刷に際し,別途,ミヤビデザインに金銭を支払ったり,明示の許諾を受けたりしたことを示す証拠はない。
 そうすると,被告プラスアイとミヤビデザインとが締結した07AWツールの制作にかかる契約では,販促ツールの製造(複製)は当然の前提となっていたことが窺える。
 そして,08SSツール(管理人注:「2008年春夏用の販促ツール」をさす。)は,制作と製造を共に原告が担当したため,もともと,許諾行為が予定されていないが(複製行為については,製造契約に基づき,原告が行うことになる。),08AWツール(管理人注:「2008年秋冬用の販促ツール」をさす。)では,07AWツールと同様,制作と製造は別の者が担当するところ,販促ツールのデータについても,07AWツールと同様,被告らが,これを使用して,複製等をすることは当然の前提となっていたと解するべきである。
 そもそも,前記のとおり,原告は,被告らの指示に従って本件デザイン画を制作しなければならず,少なくとも被告らの意向に反して創作性を発揮することは許されない関係にあったものである。そうすると,原告と被告らとの間では,原告が,少なくとも被告らに対しては,本件デザイン画について著作物性を主張したり,著作権を行使したりしない合意があったものということもできる
 なお,前記のとおり,原告は,本件デザイン画のデータを被告プラスアイに交付するに当たり,複製等の禁止を伝えている。
 しかし,既に,08AWツールについて,上記のとおり,提供したデータを使用して複製等することが当然の前提となっている合意が成立している以上,これに従って,本件デザイン画の画像データを交付した場合,同データを使用して,本件デザイン画を複製等することを拒むことはできないというべきである。
 原告としては,複製等を回避するために,上記画像データの交付をしなければ,08AWツール契約(制作)について,履行遅滞による債務不履行の責任を負うことになると考える。
(4) 著作者人格権の成否
 上記(2)のとおりであるから,本件デザイン画について著作者人格権が発生することもないというべきである。
 
また,上記(3)で述べた事情からすると,仮に,本件デザイン画について著作権及び著作者人格権が発生したとしても,被告らにおいて,本件デザイン画の複製だけでなく,翻案も許諾されていたと解する以上,同一性保持権を行使することは予定されていなかったということができる。











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