著作権重要判例要旨[トップに戻る]







法的保護に値する利益の侵害に係る不法行為の成否
「携帯電話機向け‘釣りゲーム’事件」
平成240808日知的財産高等裁判所(平成24()10027 

 法的保護に値する利益の侵害に係る不法行為の成否について
(1) 1審原告は,必ずしも著作権など法律に定められた厳密な意味での権利が侵害された場合に限らず,第1審被告らが,第1審原告が多額の費用を投じて開発し多数の広告宣伝を行ってきた原告作品に明白かつ悪質な意図をもって依拠し,原告作品の表現上の本質的な特徴を直接感得できる被告作品を全国に配信した行為は,第1審原告に莫大な損害を与え,第1審原告の信用を毀損したことから,法的保護に値する利益を侵害したものとして,不法行為を構成すると主張する。
 しかしながら,著作権法は,著作物の利用について,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に独占的な権利を認めるとともに,その独占的な権利と国民の文化的生活の自由との調和を図る趣旨で,著作権の発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,独占的な権利の及ぶ範囲,限界を明らかにしている。また,不正競争防止法も,事業者間の公正な競争等を確保するため不正競争行為の発生原因,内容,範囲等を定め,周知商品等表示について混同を惹起する行為の限界を明らかにしている
 ある行為が著作権侵害や不正競争行為に該当しないものである場合,当該著作物を独占的に利用する権利や商品等表示を独占的に利用する権利は,原則として法的保護の対象とはならないものと解される。したがって,著作権法や不正競争防止法が規律の対象とする著作物や周知商品等表示の利用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り,不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。
(2) 1審被告らの被告作品の製作及び公衆への送信行為が,第1審原告の原告作品に係る著作権及び著作者人格権を侵害したとはいえないことは,前記に説示したとおりである。また,被告影像1及び2の掲載行為が,第1審原告の周知商品等表示と混同を生じさせる行為であるとはいえないことも,前記に説示したとおりである。
 1審原告は,第1審被告らの行為により,信用毀損が生じた旨主張する。しかし,第1審原告の提出する証拠によっても,被告作品及び原告作品のユーザーの一部に,両作品を混同している者が存在することが認められるというにすぎず,第1審原告の主張するように,第1審被告らが被告作品を配信したことで,全国の多数のユーザーが原告作品又は第1審原告と被告作品又は第1審被告ディー・エヌ・エーとが同一であると誤認するなどして,第1審原告の社会的信用と営業上の信頼に深刻な影響が出たということまで認めるに足りる証拠はない。
(3) したがって,仮に,第1審被告らが,被告作品を製作するに当たって,原告作品を参考にしたとしても,第1審被告らの行為を自由競争の範囲を逸脱し第1審原告の法的に保護された利益を侵害する違法な行為であるということはできないから,民法上の不法行為は成立しないというべきである。
 
1審原告の上記主張は理由がない。











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