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公文書等歴史資料を収録した書籍の編集著作物性
「‘北朝鮮の極秘文書’書籍事件」平成240131日東京地方裁判所(平成20()20337 

【コメント】本件で、その編集著作物性が争点となった「原告書籍収録文書」とは、原告書籍(『米国・国立公文書館所蔵 北朝鮮の極秘文書』という題号の全3巻の書籍)に収録されている文書で、米国軍が朝鮮戦争の当時北朝鮮地域を一時占領した際に押収し、その後米国の国立公文書館に所蔵されていた合計160万ページに及ぶ文書の中から原告が選択した約1000点の文書(合計約1500ページ)全体を意味します。 

 原告書籍収録文書は,編集著作物か
(1) …によれば,次の事実が認められる。
 (略)
(2) 上記認定事実によれば,原告書籍収録文書は,単に米軍押収文書を時系列に従って並べたり,既に分類されていたものの中から特定の項目のものを選択したりしたというものではなく,原告が,未整理の状態で保存されていた160万ページにも及ぶ米軍押収文書の中から,南北朝鮮のどちらが先に朝鮮戦争を仕掛け,戦争を主導したかを明らかにする文書という一定の視点から約1500ページ分を選択し,これを上記(1)のとおり原告の設定したテーマごとに分類して配列したものといえる。
 したがって,原告書籍収録文書は,全体として,素材たる原資料の「選択」及び「配列」に編者の個性が顕れているものと認められるものであり,編集著作物に当たるというべきである。
(3) これに対し,被告らは,原告書籍収録文書における素材の選択及び配列は,米軍押収文書から出版物を作成する合にとられる標準的なものであり,創作性があるとはいえないと主張し,その根拠として,原告書籍より先に刊行された北韓関係資料集に収録されている資料の中に,原告書籍収録文書と同じ資料が少なからず存在することなどを挙げる。
 しかしながら,…によれば,北韓関係資料集と原告書籍とは,米軍押収文書の中から編者が選択した資料を掲載しているという点では同じであるもの,北韓関係資料集に収録されている文書と原告書籍収録文書が共通するのは,原告書籍収録文書全体の1割にも満たないものであり,北韓関係資料集の収録文書全体に占める割合は更に低いものであって,両書籍における資料の選択及び配列の仕方には,共通点が乏しいものと認められる。また,このほかに,原告書籍収録文書における素材の選択及び配列がありふれたものであることを認めるに足りる証拠はない。
 
したがって,被告らの上記主張を採用することはできない。











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