著作権重要判例要旨[トップに戻る]







編集著作権の侵害性判断(11)-漢字問題集が争点となった事例-
「‘漢検’対策問題集事件」平成240216日大阪地方裁判所(平成21()18463 

 さらに,被告らは,本件対策問題集について,被告オークが著作権を有する書籍の複製物もしくは翻案物であると主張するので,以下検討する。
() ステップシリーズについて
 被告らは,ステップシリーズの初版は,被告オークが著作権を有するステップ式学習シートを元に,被告オークが発案した,読み問題,応用問題(23類型),書き取り問題を配置するというステップ式編集方針を採用して,被告オークが編さんしたものであり,被告オークが著作権を有するところ,本件対策問題集は,その複製物もしくは翻案物にすぎないと主張する。
 しかしながら,ステップシリーズにおいて,上記ステップ式編集方針が抽象的なアイデアとして引き継がれているとしても,これらは編集著作物として保護される具体的な表現とはいえない
 前記アのとおり,本件対策問題集において,編集著作物として保護される具体的な表現は,大問・小問の具体的な選択・配列であるが,次のとおり,本件対策問題集のうちステップシリーズ(本件書籍1221)の大問・小問の具体的な選択・配列は,ステップシリーズ初版に類似しているとは認めがたい。たとえば,…
 このように,上記ステップ式編集方針に基づくシリーズとしての共通性が初版と改訂版との間に存在するとしても,ステップシリーズの改訂版が初版の複製物であるとみることはできない。そもそも,本件対策問題集のような問題集の改訂では,意図的に旧版と異なる素材を選択することが求められるといってよく,そのような事情も考慮すると,翻案物とみることもできない。
 また,分野別シリーズ,ハンディシリーズについては,そもそもステップシリーズとは編集方針が異なるから,これらをステップシリーズ初版の複製物であるという被告らの主張には理由がない。
() ハンディシリーズについて
 被告らは,ハンディシリーズの末尾に付属している漢字表が,被告オークが著作権を有する「漢検 常用漢字辞典」の複製物であると主張する。
 しかしながら,上記辞典は,常用漢字をグループ分けした上で((証拠)は抜粋であるため全体の構成は不明であるが,各頁の下部に「第一部 学習漢字」との記載があり,各漢字に1年から6年までの学年の記載があることからして,少なくとも,小学校で学習する漢字とそうでない漢字とを別グループにしてあることが窺える。),50音順に並べ,漢字の意味,熟語,用例などを挙げたものであるところ,ハンディシリーズの漢字表は,当該級の配当漢字のみを取り上げている点で,そもそも,上記辞典とは漢字の具体的な選択・配列を異にする
 また,漢字の読み,画数,意味,熟語,用例,書き順などを掲載することは,漢字辞典や漢字学習のための漢字一覧表において,極めてありふれたものである(たとえば,ステップシリーズの各ステップに掲載された漢字表にも,同じ要素が掲載されている。)。
 たしかに,被告らが同一性を指摘する箇所(ハンディシリーズ5級の漢字表と,上記辞典における対応部分)を比較すると,意味,語句(熟語),用例の欄の記載について,前者が後者の一部を抜粋しているようにも見える。しかしながら,意味及び語句(熟語)に関していえば,ハンディシリーズ5級の漢字表に記載された漢字の意味及び語句(熟語)は,ステップシリーズ5級改訂版の漢字表に記載されている意味及び語句(熟語)と同一である。そして,ステップシリーズ5級改訂版の発行日は平成9101日であり,上記辞典の発行日(奥書によれば平成10310日)より前であるから,既にこの点において,ハンディシリーズの漢字表が上記辞典の複製物であるということはできない。また,P2は,ハンディシリーズの漢字表は,被告オークが版権を買い取った「大栄企画 現代版漢字辞典」から抜粋したものであると証言するが,両者に掲載されている漢字の意味,熟語,用例は同一ではなく,同証言も採用できない。
 
そして,用例について,ハンディシリーズの漢字表に記載された各漢字の用例が,「漢検 常用漢字辞典」に記載された用例の一部を抜粋したものであるとしても,用例が全体に占める部分はわずかであり,これをもって,ハンディシリーズの漢字表が同辞典の複製物であるということもできない











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