著作権重要判例要旨[トップに戻る]







ビジネス文書の侵害性が問題となった事例
「焼肉店業務委託事件」
平成240328日東京地方裁判所(平成21()5848 

【コメント】本件において、『被告会社は,平成1912月,原告会社との間で,顧客管理に関する業務全般のコンサルティング,システム管理に関するコンサルティング,制作業務,宣伝,販促,広報,制作の支援及び受託,並びに業務の拡大,推進に伴う業務に関するコンサルティング等を委託業務とする業務委託契約(以下「本件業務委託契約」という。)を締結した。当該委託業務に係る原告会社の担当者は被告Y1であった。』

 著作権侵害について
(1) 著作権侵害1について
 原告らは,被告Y1が,原告X2が作成した文書(甲1731)の文書名(データ名)等を変えた文書(甲1732)の電磁データを複製保存した上で,電子メールに添付して被告会社のパソコン及び被告Y1の自宅のパソコンへ送信した行為が当該文書に係る原告会社の著作権(複製権,翻案権)を侵害すると主張する。
 しかしながら,甲1731の文書は,本件業務委託契約に基づき,原告会社が被告会社のウェブサイトのリニューアル作業に係るプレゼン資料として作成し被告会社に提案したものであり,甲1732の文書は被告会社の担当者からの依頼を受け甲1731の文章を修正し,被告会社へ提案したものと認められることからすると,甲1732の文書の作成,被告会社への提案は本件業務委託契約の受託業務の履行として行われたものといえ,被告Y1の上記各行為も,被告会社から受託した業務の履行として行われたものと認められる。そして,被告会社から受託した業務を履行するために,原告会社が著作権を有する文書を複製,翻案することについては,原告会社の包括的な許諾があったものと認めるのが相当であるから,被告Y1の上記各行為が原告会社の著作権(複製権,翻案権)を侵害するということはできない
 (略)
(3) 著作権侵害4について
 原告らは,被告Y1が,原告会社従業員が作成した文書(甲1735)の文書名(データ名)のみを変えた文書(甲17352)の電磁データを複製保存した上で,電子メールに添付して被告会社のパソコンへ送信した行為が当該文書に係る原告会社の著作権(複製権,翻案権)を侵害すると主張する。
 しかしながら,1735の文書は,無料ディレクトリ登録サイト,携帯サイト向け検索エンジン,キーワード等をリスト化したものにすぎず,表現上の創作性を有するものとも,素材の選択,配列に創作性を有するものとも認めることはできないから,著作物性を認めることはできない。また,情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものということもできないため,データベースの著作物に当たるということもできない。したがって,原告らの著作権侵害の主張は理由がない。
 (略)
(10) 著作権侵害11について
 原告らは,被告Y1が,原告X2が作成した文書(甲17501751)の電磁データを無断で複製し(甲17521753),当該文書を電子メールに添付して自宅のパソコンへ送信し,保存した行為が当該文書に係る原告会社の著作権(複製権)を侵害すると主張する。
 しかしながら,17501751の文書は,銀行への融資のために作成された一般的な事業計画書にすぎず,表現上の創作性を有するものということはできない上,甲17521753の文書の表現が甲17501751の文書の表現と同一性,類似性を有するのは,「基本事項」,「計画因子」,「客単価」,「売上」,「初期投資内訳」等の項目やタイトル,表の形式や書式などであって,事実やアイデアなど表現それ自体ではない部分又は表現上の創作性がない部分で共通するにすぎない。したがって,被告Y1の上記行為が上記文書に係る原告会社の著作権(複製権)を侵害すると認めることはできない
(11) 著作権侵害12
 原告らは,被告Y1が,原告X2が作成した文書(甲1754)の電磁データを無断で複製し(甲1755),当該文書を電子メールに添付して自宅のパソコンへ送信し,保存した行為が当該文書に係る原告会社の著作権(複製権)を侵害すると主張する。
 しかしながら,1754の文書は,店舗の開業までにやるべきことを箇条書きでまとめた一般的なリストにすぎず,表現上の創作性を有するものということはできない上,甲1755の文書の表現が甲1754の文書の表現と同一性,類似性を有するのは,「やること」,「コンセプト」,「メニュー確定」,「仕入先の選定」等の項目やタイトルの一部,店舗の所在地や営業時間のみであって,事実やアイデアなど表現それ自体ではない部分又は表現上の創作性がない部分で共通するにすぎない。したがって,被告Y1の上記行為が上記文書に係る原告会社の著作権(複製権)を侵害すると認めることはできない
(12) 以上によれば,著作権侵害に基づく原告らの請求は,いずれも理由がない。











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