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相手方の氏名を明示しない公務員に関する新聞記事が名誉毀損罪に当たるとした事例
「‘片手落’名誉棄損事件」昭和281215日最高裁判所第三小法廷(
?昭和27()3760 

【コメント】本件では、奈良県某町で新聞を編集発行している者が、同町議会議員某において自警廃止論より同存置論に変節したのを批判するにあたり、同人が片手を喪失していることと結びつけ某日の紙面上に、「当町議立候補当時の公約を無視し、関係当局に廃止の資料の提出を求めておきながら、わずか二、三日後に至つて存置派に急変したヌエ的町議もあるとか。君子は豹変するという。しかも二、三日のわずかの期間内での朝令暮改の無節操振りは、片手落の町議でなくては、よも実行の勇気はあるまじく、肉体的の片手落は精神的の片手落に通ずるとか?石田一松ではないが、ハヽ呑気だねとお祝詞を申上げておく。」と執筆掲載し、これを頒布した場合には、公然事実を摘示して当該町議会議員某の名誉を毀損したものとして名誉毀損罪が成立する、としました。 

 本件記事は論旨のいうとおり被害者の氏名こそ明示してないが、第一審判決挙示の証拠を綜合するとそれがAに関して為されたものであることが容易にわかる場合であることが認められる。だから該記事は被害者の特定に欠くるところはないというべきである。また記録を調べても、被害者の朝令暮改的な政治的無節操振りが真実であるとの証明があつたものとは認められない。仮りにその証明があつたとしても、これを結びつけて、ことさらに「肉体的の片手落は精神的の片手落に通ずるとか、ヌエ的町議がある。」等と凡そ公務と何等の関係のないことを執筆掲載することは身体的不具者である被害者を公然と誹謗するものであると謂うべきである。
 
従つて本件につき名誉毀損罪の成立を認めた原判決は正当であつて、論旨は採るを得ない。











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