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独占的商品化権侵害に基づく損害賠償請求権の存在を否定した事例
パチンコ遊技機ライセンス許諾料返還請求事件」平成240719日東京地方裁判所(平成23()35541 

【コメント】本件は、パチンコ遊技機等の開発・製造・販売に利用するための漫画・劇画(以下「プロパティ」という。)のライセンス契約4件を被告と締結した原告が、被告に対し、被告はライセンス対象のプロパティの利用を原告に許諾する全ての権原を有する旨保証しながら、これを有していなかったため、(1)うち3件のライセンス契約については、これを催告の上解除したと主張して、解除に基づく原状回復として、支払済みの許諾料合計15200万円及びこれに対する返還期限の翌日である平成22612日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め、(2)その余のライセンス契約1件については、原告が別途プロパティの利用許諾料の支出を余儀なくされて同額の損害を被ったと主張して、債務不履行に基づく損害賠償として、1400万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成231110日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案です。
 これに対し、被告は、被告の有する漫画「桃太郎侍」の独占的商品化権侵害に係る損害賠償請求権を自働債権とする相殺の抗弁を主張して、原告の請求を争いました。
 なお、本件における争点は、『被告が,原告に対し,原告による漫画「桃太郎侍」の独占的商品化権の侵害に基づく損害賠償請求権を有するか否か』という点です。 


1 争点につき検討する。
(1) 被告は,原告が,本件パチンコ遊技機を製造販売することにより,本件漫画に関する被告の独占的商品化権若しくは独占的に商品化して得られる利益を侵害した旨主張する。かかる主張は,上記権利ないし利益の内容を含めて,その趣旨が判然としないが,これをもって,本件パチンコ遊技機の液晶画面の表示等が,本件小説の二次的著作物である本件漫画の著作権,特に複製権・翻案権を侵害しているという趣旨であると善解することができるとしても,被告は,本件パチンコ遊技機の液晶画面の表示等が本件漫画に依拠したものであることについて何ら具体的な主張立証をしないばかりか,本件漫画の表現と上記表示における表現とが完全に違っていることを自認しているから,本件パチンコ遊技機を製造販売することが本件漫画の複製権・翻案権を侵害するとは認められない
(2) また,被告は,本件漫画に登場する「桃太郎侍」などのいわゆるキャラクターが著作物であるかのような主張もするが,本件漫画を離れ,キャラクター自体を著作物と認めることはできないというべきであるから(最高裁平成9717日第一小法廷判決参照),被告の上記主張は失当というほかない。
(3) その他,本件全証拠によっても原告の被告に対する不法行為の成立を認めることはできない。
2 以上のとおり,被告が主張する自働債権の発生を認めることができないから,被告の相殺の抗弁は理由がない。
3 よって,原告の請求は全て理由があるから,これを認容することとして,主文のとおり判決する。











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