著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著作権譲渡の黙示の合意の成立を否定した事例(13)
餃子・焼売の商品パッケージイラスト事件平成240927東京地方裁判所(平成22()36664 

 被告らによる著作権侵害の成否について
 原告は,被告らは,平成129月以降,本件各イラストの複製物である被告イラスト…をカートンに印刷し,本件各カートンを共同して製造し,本件各カートンに被告寿屋の餃子・焼売の商品を詰め,共同して被告寿屋の店舗で販売を行っており,被告らのかかる行為は,本件各イラストについて原告が保有する複製権及び譲渡権の侵害行為に当たる旨主張する。
 これに対し被告らは,被告寿屋においては本件各イラストの複製の事実を,被告紙パックにおいては本件各カートンを使用した被告寿屋の餃子・焼売の商品の共同販売の事実を争うとともに,原告の本件各イラストの著作権の喪失及び原告による使用許諾を抗弁として主張する。
 そこで,本件の事案に鑑み,まず,被告ら主張の上記抗弁から順次判断することとする。
(1) 著作権譲渡について
ア 被告寿屋は,原告は,昭和52年ころ,電通を介して,被告紙パックとの間で,原告が被告紙パックに対し本件各イラストの著作権を譲渡する旨の譲渡契約を締結した旨主張する。
 しかしながら,被告寿屋の上記譲渡契約の締結の事実をうかがわせる契約書その他の客観的な証拠は提出されていないのみならず,原告は,本人尋問において,原告が被告紙パックに対し本件各イラストの著作権を譲渡したことを明確に否定する供述をし,また,前記認定の本件の経緯等に照らしても,上記譲渡契約の締結の事実をうかがわせる事情は認められない。
 結局,本件全証拠によっても,被告寿屋の上記譲渡契約の締結の事実を認めるに足りない。
 したがって,被告寿屋の上記主張は,理由がない。
イ 被告紙パックは,@原告は,昭和52年ころ,電通から,被告寿屋の餃子・焼売の商品のパッケージ用のイラスト制作の依頼を受けて,本件各イラストを制作してその原画(本件原画)を電通に提供し,電通から報酬を受領していること,原告は,その際,被告寿屋が上記商品のパッケージに本件各イラストを印刷して販売することを承認し,被告イラスト…の校正刷りを確認していることからすれば,原告と電通との間で,昭和52年ころ,原告が電通に対し本件各イラストの著作権を譲渡する旨の譲渡契約が成立した,A仮に@が認められないとしても,本件各イラストは,被告寿屋の商品のパッケージに利用する目的であることが契約当時においても明らかであったのだから,原告と電通との間で,昭和52年ころ,原告が被告寿屋に対し本件各イラストの著作権を譲渡する旨の契約(第三者のためにする契約)が成立した旨主張する。
() そこで,前記@の譲渡契約について検討するに,原告が,昭和52年ころ,電通の担当者から,被告寿屋の餃子・焼売の商品のパッケージに使用するイラストの制作を依頼され,墨一色で描いた5枚のイラスト(本件各イラスト)を制作し,それらの原画(本件原画)を電通に引き渡し,その際,電通から,少なくとも10万円を超える報酬を受け取ったこと,原告が,同年ころ,電通の担当者から,本件原画を基に着色をするなどして制作された被告イラスト…の校正刷りを示され,色等の仕上がりを確認し,これらのイラストを被告寿屋が販売する餃子・焼売の商品のパッケージに印刷して使用することを承諾したことは,前記認定のとおりである。
 しかしながら,原告が電通に対して上記報酬の支払を受けて本件各イラストの原作品である本件原画を引き渡したことは,本件原画の所有権の譲渡の事実をうかがわせる事情には当たるものの,著作物の原作品の所有権と当該著作物の著作権とは別個の権利であり,原作品の所有権は,その有体物の面に対する排他的支配権能であるにとどまり,無体物である著作物自体を直接排他的に支配する権能ではないから,著作物の原作品の所有権が譲渡されたからといって直ちに著作権が譲渡されたことになるものではなく,原告が電通に対し本件各イラストの著作権を譲渡したことを直ちに裏付けることにはならない。また,原告が電通から支払を受けた具体的な報酬額は本件証拠上明らかではなく,その報酬額から本件各イラストの著作権譲渡の事実を推認することもできない。
 さらには,原告が,本件原画を基に制作された被告イラスト…を被告寿屋が販売する餃子・焼売の商品のパッケージに印刷して使用することを承諾したことは,原告が電通に対し本件各イラストの著作権を譲渡したことの根拠となるものではない。このほか,被告らが,昭和52629日,本件カートン…に係る各意匠について,意匠の創作者を「原告」,意匠に係る物品を「包装用箱」とする意匠登録出願を共同で行い,昭和54531日にその意匠登録を受けた事実はあるが,原告が被告らによる上記意匠登録出願の事実を認識していたことや,上記意匠登録出願について承諾していたことについては本件証拠上不明であり,上記意匠登録出願及び意匠登録の事実は,原告が電通に対し本件各イラストの著作権を譲渡したことをうかがわせる事情となるものではない。かえって,原告は,本人尋問において,原告が被告ら又は電通に対し本件各イラストの著作権を譲渡したことを明確に否定する供述をしている。
 他に被告紙パック主張の前記@の譲渡契約が成立したことを認めるに足りる証拠はない。
() 次に,前記Aの譲渡契約について検討するに,前記()で説示したのと同様の理由により,被告紙パックが主張する諸事情は,原告と電通との間で,昭和52年ころ,原告が被告寿屋に対し本件各イラストの著作権を譲渡する旨の契約(第三者のためにする契約)が成立したことの根拠となるものではない。
 他に被告紙パック主張の前記Aの譲渡契約が成立したことを認めるに足りる証拠はない。
() 以上によれば,被告紙パックの前記@及びAの主張は,いずれも理由がない。











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