著作権重要判例要旨[トップに戻る]







ビジネスソフトの表示画面の著作物性が問題となった事例
「建築積算アプリケーションソフト『積算くん』事件」
平成120330日大阪地方裁判所(平成10()13577 

 …によれば、積算くんの意匠内外装積算ソフトは、著作者の意匠内外装の積算に関する知見に基づき、製作されたものであり、その表示画面は、同ソフトを使用する者が意匠内外装積算を行いやすいように配慮して、著作者が製作したものであると考えられるから、右表示画面は、著作者の知的精神活動の所産ということができる
 被告らは、積算くんが実用品ないし工業製品であるから「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」ではないと主張するが、そこに表現されている内容が、技術的、実用的なものであるとしても、その表現自体が知的、文化的精神活動の所産と評価できるものであれば、右要件は充足されるから、被告らの主張は採用することができない。
 なお、原告は、積算くんの表示画面は美術の著作物であると主張するようであるが、表示画面に美的要素があることは否定できないとしても、その表示画面の表示形式、表示内容からすると、積算くんの表示画面を、あえて分類するとすれば、学術的な性質を有する図面、図表の類というべきである。
 著作物であるといえるためには、「思想又は感情を創作的に表現したもの」でなければならない。
 「思想又は感情を創作的に表現したもの」と認められるためには、著作者の精神活動が、個性的に表現されていなければならない。
 被告らは、積算くんの表示画面は、書式にすぎず、「思想又は感情の表現」ではないと主張するが、書式であったとしても、どのような項目をどのように表現して書式に盛り込むかという点において著作者の知的活動が介在し、場合によっては、その表現に著作者の個性が表れることもあると考えられるから、単に積算くんの表示画面が書式であることをもって、右要件を否定することはできない
 被告らは、積算くんのようなビジネスソフトの表示画面においては、文字数や図表、図形の大きさ、一画面に使用できる色の数等の物理的制約があり、ユーザーの学習容易性、操作容易性による制約もあることを理由に、その表示画面は創作的表現になり得ないと主張する。
 しかし、積算くんはウインドウズ95又は同98をオペレーティングシステムとするアプリケーションソフトであるところ、…によれば、ウインドウズ95又は98をオペレーティングシステムとするアプリケーションソフトにおいては、画面の解像度を変更したり、スクロールバーを縦横に設けることにより、一表示画面に表現できる情報の量を変更することができること、最高1677万色以上の色彩表現が可能であること、また画面に表示できる表現も文字だけに限らず、記号、図形など多彩であることなどが認められ、これらのことからすると、ウインドウズ95又は98をオペレーティングシステムとするアプリケーションソフトにおける表示画面の物理的制約は、表現の創作性を検討する観点からは、無制限といってもよい程度の物理的制約にすぎないことが認められる。
 
また、ビジネスソフトは、不特定多数者の実務的利用を想定して製作されるから、利用者の学習容易性、操作容易性の観点から、その表示画面においては、できるだけ利用者がわかりやすい一般的・普遍的表現、すなわち著作者の個性が表れない表現が用いられる傾向があるであろうことは理解し得る。しかし、そうであるからといって、積算くんがビジネスソフトであることをもって、直ちに、その表示画面に創作性がないということはできない











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