著作権重要判例要旨[トップに戻る]







適法引用の要件(10)
「‘新おかやま国際化推進プラン’パンフレット事件」平成250716日大阪地方裁判所(平成24()10890 

 引用の成否について
 以下のとおり,本件掲載行為は,著作権32条1項の引用に当たる。
(1) 引用の意義
 著作権法321項によると,公表された著作物は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で引用して利用することができると規定されている。引用の目的上正当な範囲内とは,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであることが必要であり,具体的には,他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか,その方法や態様,利用される著作物の種類や性質,当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などが総合考慮されなければならない
(2) 本件掲載行為が引用に当たること
 別紙ウェブページ記載のとおり,本件パンフレットの表紙(本件イラストを含む。)は,被告岡山県の事業である「新おかやま国際化推進プラン」を紹介する目的で掲載されたものであることが明らかである。
 その態様も,前記 [管理人注:『前提事実のとおり,本件掲載行為は,本件パンフレットの表紙(本件イラスト)を別紙ウェブページ記載の態様で何ら改変することなく掲載したものであり,当該ウェブページは,本件大学校の協働施設として,被告岡山県との連携,とりわけ本件大学校と密接な関連のある「新おかやま国際化推進プラン」について紹介したものである。また,本件パンフレットの表紙(本件イラスト)は,ウェブページ全体の中ではごく一部,紹介記事の本文と比較しても半分以下の大きさで掲載されているにすぎない。』] のとおり,被告岡山県の事業を広報するという目的に適うものであり,本件パンフレットの表紙に何らの改変も加えるものでもない。
 しかも,このような本件掲載行為の目的,態様等からすると,著作権者である原告P1の利益を不当に害するようなものでもない。
 以上に述べたところからすれば,本件掲載行為は,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであるということができ,「公正な慣行」に合致するということもできるから(原告もこのことについては明示的に争わない。),適法な引用に当たると解するのが相当である。
(3) 原告らの主張について
 原告らは,①本件掲載行為に係る別紙ウェブページの記載(被引用物)が著作物ではないこと,②原告らの著作権が表示されていないこと,③主従関係にはないこと,④本件掲載行為が同一性保持権を侵害することからすれば,引用は成立しない旨主張して争っている。
 このうち上記①の主張について検討すると,旧著作権法301項第2では「自己ノ著作物中」に引用することが必要とされていたものの,同改正後の著作権法321項では明文上の根拠を有しない主張である。その点はさておくとしても,別紙ウェブページの記載は相当な分量のものであり,内容・構成に創作性が認められる(選択の幅がある)ことからすれば,その著作物性を否定することは困難である。
 
上記②の主張について検討すると,本件パンフレットの表紙には原告P1の氏名の表示がないものの,後記のとおり,このことは原告P1の氏名表示権を侵害するものではない。そうすると,本件パンフレットの表紙は無名の著作物であり,著作権法482項により出所の表示の必要がないから,上記②の主張にも理由がない。
 
上記③の主張については,前記のとおり,別紙ウェブページにおける本件パンフレットの表紙の記載はウェブページ全体の中ではごく一部であり,主従関係にあるものと認められるから,上記③の主張も採用できない。
 上記④の主張に理由がないことは,後記で述べるとおりである。
 よって,原告らの主張はいずれも採用できない。
 
なお,別紙ウェブページ記載の態様からすれば,本件パンフレットの表紙の部分は,他のウェブページの記載と明瞭に区別することができる。











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