著作権重要判例要旨[トップに戻る]







譲渡契約の解釈(17)
「‘新おかやま国際化推進プラン’パンフレット事件」平成250716日大阪地方裁判所(平成24()10890 

【コメント】本件は、以下の「前提事実」の下で、原告らが以下のような「主位的請求」をした事案です:
(3) 本件イラストを利用したパンフレットの制作
ア 「新おかやま国際化推進プラン」
 被告岡山県は,平成83月,「おかやま国際化推進プラン」を策定し,平成133月には,平成17年度までの5年間を計画期間とする「新おかやま国際化推進プラン」を策定した。
 同プランは,「国際化推進のための施策」の1つとして,「公設国際貢献大学校に対する連携・支援」を挙げていた。
イ 本件イラストの利用許諾とパンフレットの制作
 被告岡山県は,印刷会社との間で,平成1336日,「新おかやま国際化推進プラン」に関するパンフレットの構成・印刷を委託する契約をした。
 印刷会社は,原告リーブラの販売代理店を通じ,原告リーブラから,本件イラストをパンフレットの表紙に利用することについて許諾を受けた上で,パンフレット(以下「本件パンフレット」という,)を制作した。
ウ 本件パンフレットの表紙
 本件パンフレットの表紙は,別紙パンフレット表紙記載のとおり,本件イラストを改変して利用したものであり,本件イラスト上にハート形と「パートナーシップで築く世界にひらかれた岡山」という広告コピーが挿入されている(ハート形は日本の上で,岡山県の位置に記載されたものと思われる。広告コピーは,インド洋から太平洋南部にかけて)。著作者である原告P1の氏名は表示されていない。
(4) 本件大学校のウェブページにおける本件パンフレットの表紙の掲載
 本件大学校(設置者:哲多町)は,平成158月,被告岡山県から許諾を受けて,別紙ウェブページ記載の態様で,本件大学校のウェブページにおいて本件パンフレットの表紙の画像を掲載した(以下,この掲載行為を,単に「本件掲載行為」という。)。
 本件大学校(指定管理者:被告機構)は,平成24214日,上記ウェブページから上記表紙の画像を削除した。』
(原告らの請求)
(1) 主位的請求
ア 原告リーブラの著作権侵害に係る請求
 本件掲載行為が原告リーブラの有する本件イラストの著作権(複製権,公衆送信権)を侵害するものであるとして,共同不法行為に基づき,…の連帯支払の請求
イ 原告P1の著作者人格権侵害に係る請求
 本件掲載行為が原告P1の有する本件イラストの著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権)を侵害するものであるとして,共同不法行為に基づき,…の連帯支払の請求』 


 原告リーブラが本件イラストの著作権を有するか等について
 以下のとおり,原告リーブラは,本件イラストの著作権者であると認めることができないから,その余の点について検討するまでもなく,主位的請求のうち原告リーブラの著作権侵害に係る請求には理由がない。
(1) 原告リーブラが本件イラストの著作者ではないこと
 原告リーブラが本件イラストの著作者でないことは当事者間に争いがない。
(2) 原告リーブラが本件イラストの著作権者ではないこと
ア 原告P1と原告リーブラとの契約
 …によれば,以下の事実が認められる。
 原告P1は,コスモ社との間で,平成10310日,原告P1の作品の「使用権の販売」について委託する契約をした。
 コスモ社は,原告リーブラとの間で,平成111221日,平成1231日から50か月間の約定で,コスモ社の「営業するライブラリー業務に関する営業権」をリースする旨の契約をした。
 原告P1は,原告リーブラとの間で,平成16111日,原告P1の著作物に関する「使用権の設定,販売など」を委託する旨の契約をした。また,コスモ社との上記契約について,コスモ社が契約の当事者から離脱し,代わりに原告リーブラが当事者となって同契約におけるコスモ社の権利義務を承継することを承諾した。
イ 上記アの各契約が著作権の譲渡ではないこと
 上記アの各契約に係る契約書を子細に検討しても,単に著作権の管理に関する業務を委任したものとしか解することができない
 現に,平成16111日付け契約書3条によると,原告P1は,必要に応じて,委託した著作物の著作権を原告リーブラに移転する旨規定されており,原告P1は,原告リーブラに対し,本件掲載行為が終了した後の平成24830日,本件イラストの著作権を移転したことが認められる(なお,原告らは,原告リーブラが,原告P1に対し,平成2531日,上記著作権を再度譲渡したとも主張している。)。
 したがって,上記アの各契約は,原告リーブラに対し,本件イラストの著作権を譲渡するものではないから,本件掲載行為の当時,原告リーブラが本件イラストの著作権者であったとは認められない
(3) 小括
 前記(1)及び(2)のとおり,原告リーブラは,本件イラストの著作者ではなく,本件掲載行為の当時,本件イラストの著作権者でもなかったものである。
 他に,原告リーブラが本件掲載行為に係る既発生の損害賠償請求権について個別に債権譲渡を受けたなどとする主張立証もない。
 
したがって,原告リーブラの著作権侵害に係る請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がない。











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