著作権重要判例要旨[トップに戻る]







ニュース記事見出しの著作物性
YOL
Yomiuri On-Line)見出し事件」平成160324日東京地方裁判所(平成14()28035/平成171006日知的財産高等裁判所(平成17()10049 

【原審】

 
著作権法による保護の対象となる著作物は,「思想又は感情を創作的に表現したもの」であることが必要である(法211号)。「思想又は感情を表現した」とは,事実をそのまま記述したようなものはこれに当たらないが,事実を基礎とした場合であっても,筆者の事実に対する評価,意見等を,創作的に表現しているものであれば足りる。そして,「創作的に表現したもの」というためには,筆者の何らかの個性が発揮されていれば足りるのであって,厳密な意味で,独創性が発揮されたものであることまでは必要ない。他方,言語から構成される作品において,ごく短いものであったり,表現形式に制約があるため,他の表現が想定できない場合や,表現が平凡かつありふれたものである場合には,筆者の個性が現れていないものとして,創作的な表現であると解することはできない
 上記の観点から,YOL見出しの著作物性の有無について判断する。
 (略)
 以上の検討を踏まえた上で,YOL見出し一般について判断する。
 …によれば,@YOL見出しは,その性質上,簡潔な表現により,報道の対象となるニュース記事の内容を読者に伝えるために表記されるものであり,表現の選択の幅は広いとはいえないこと,AYOL見出しは25字という字数の制限の中で作成され,多くは20字未満の字数で構成されており,この点からも選択の幅は広いとはいえないこと,BYOL見出しは,YOL記事中の言葉をそのまま用いたり,これを短縮した表現やごく短い修飾語を付加したものにすぎないことが認められ,これらの事実に照らすならば,YOL見出しは,YOL記事で記載された事実を抜きだして記述したものと解すべきであり,著作権法102項所定の「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」(著作権法102項)に該当するものと認められる。
 以上を総合すると,原告の挙げる具体的なYOL見出しはいずれも創作的表現とは認められないこと,また,本件全証拠によるもYOL見出しが,YOL記事で記載された事実と離れて格別の工夫が凝らされた表現が用いられていると認めることはできないから,YOL見出しは著作物であるとはいえない。

【控訴審】

 一般に,ニュース報道における記事見出しは,報道対象となる出来事等の内容を簡潔な表現で正確に読者に伝えるという性質から導かれる制約があるほか,使用し得る字数にもおのずと限界があることなどにも起因して,表現の選択の幅は広いとはいい難く,創作性を発揮する余地が比較的少ないことは否定し難いところであり,著作物性が肯定されることは必ずしも容易ではないものと考えられる。
 しかし,ニュース報道における記事見出しであるからといって,直ちにすべてが著作権法102項に該当して著作物性が否定されるものと即断すべきものではなく,その表現いかんでは,創作性を肯定し得る余地もないではないのであって,結局は,各記事見出しの表現を個別具体的に検討して,創作的表現であるといえるか否かを判断すべきものである。

【コメント】控訴審では、以上のような一般論を述べた上で、結論としては、「当裁判所も,控訴人が主張する具体的なYOL見出しについては,いずれも創作性を認めることができないものと判断する。」としました。

 以下に、創作性(著作物性)が否定された見出しの具体例をいくつか挙げておきます。
「マナー知らず大学教授,マナー本海賊版作り販売」
「A・Bさん,赤倉温泉でアツアツの足湯体験」
「道東サンマ漁,小型漁船こっそり大型化」
「中央道走行車線に停車→追突など14台衝突,1人死亡」
「国の史跡傷だらけ,ゴミ捨て場やミニゴルフ場…検査院」
「『日本製インドカレー』は×…EUが原産地ルール提案」
 












相談してみる

ホームに戻る