著作権重要判例要旨[トップに戻る]







利用許諾契約の解釈(35)
「デジタル出版サービス契約事件」平成251115日東京地方裁判所(平成24()9900 

【コメント】本件は、「本件契約」によって被告の会員となった原告が、本件契約の第17条によれば、被告は原告から預託を受けたデジタルコンテンツデータを運用した場合、データ運用の対価に所定の料率を乗じた金員(「収益還元金」)を原告に支払うべき収益還元義務を負うところ、原告は、被告に対し、本件契約に基づき、平成213月末頃までに、「本件各書籍」を預託したが、被告は、平成22年初め頃から平成2310月頃までの間に、原告から預かったデータを用いて本件各書籍につき各100冊の複製物を第三者に提供するなどして運用し対価を得ているにもかかわらず、その収益を原告に還元していないと主張して、本件契約が定める収益還元義務の履行請求として、所定の収益還元金等の支払を求めた事案です。

 なお、「前提事実」として、以下参照:
『原告と被告は,平成13711日に,「デジタルパブリッシングサービス出版社会員規約」に係る契約(以下「本件契約」という。)を締結し,原告は被告の会員となった。
 本件契約の「第3章 データ管理サービス」には,第11条(データ登録)として,「当社は,データ登録として,前条に基づき会員から提供されたコンテンツデータを,当社所定の手続に従い,自らの費用と責任でコンテンツデータベースに複製します。」と規定されている。
 また,「第4章 データ運用サービス」には,第15条(データ運用)として,「会員が預託しデータ登録されたコンテンツデータに関し,当社は,本規約に従いオンデマンド出版及び電子書籍により第三者にその複製物を提供することでデータ運用を行うものとします。」「2.当社は,自らの責任と費用において,第16条に定める範囲内に限り,オンデマンド出版のための在庫を持つことができるものとします。」と規定されている。また,本件契約の第17条(運用収益の還元)には,「当社は,当社が受領したデータ運用の対価に所定の料率を乗じた金員を,データ運用の収益還元として会員に支払うものとします。」と規定されている。』


2 争点(1)(被告による本件各書籍のデータの無断運用の有無)について
(1) 原告は,被告により,本件各書籍について,原告に無断で,被告の記録にないデータ運用がされているところ,原告にその収益が還元されていないと主張して,本件契約で定められた収益還元義務に基づき,原告に無断でデータ運用した本件各書籍につき,各100冊分の収益還元金の支払を求めるとする。
 しかし,原告は,そもそも,本件各書籍について被告による無断データ運用がされたか否かの前提として,いつの時点で何冊を印刷し,そのうち何冊をいかなる経路で流通に置き,このうち販売された部数が何部であるか,それに比して,現在までに流通した部数が何部多いか等について,何ら主張立証を行っていない
 そうすると,原告の了解のもとで流通に置かれた本件各書籍の総数と,そうでない書籍の数とを比較しようがなく,被告による原告に対する無断データ運用の総数を検討する以前の問題として,そもそも原告の意思に基づかない書籍の流通自体があったのか否か不明というほかないから,原告の請求は,この点からして理由がないというべきである。
(2) この点に関して原告は,被告が原告から預かったデータを用いて本件各書籍につき各100冊の複製物を第三者に提供することにより対価を得たことを推認させる事実があると主張するが,同主張についての判断は,以下のとおりである。
 (略)
3 結論
 
以上のとおりであり,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求には理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。











相談してみる

ホームに戻る