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名誉毀損-肯定事例(4)-
「風俗ライターブログ事件」平成251128日東京地方裁判所(平成24()3677 

【コメント】本件は、本訴において、原告・反訴被告(以下「原告」)が、被告・反訴原告(以下「被告」)らが漫画を掲載した雑誌を編集・発行したことが原告の著作物の著作権及び著作者人格権を侵害すると主張して、被告らに対し、不法行為による損害賠償請求権に基づく所定の金員の連帯支払、被告株式会社ジーオーティー(以下「被告GOT」)に対し、著作権法115条に基づく謝罪広告の掲載をそれぞれ求め、反訴において、被告らが、原告がブログに記事等を掲載したことが被告らの名誉・信用を毀損したと主張して、原告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づく所定の金員の支払並びに名誉権に基づく記事等の削除を求めた事案です。 


2 反訴
(1) 被告らの名誉,信用毀損の成否について
ア 被告GOTについて
() 本件記事13及び4について
 被告GOTは出版社であるところ,本件記事1には,「無料公開しているブログから盗作を繰り返し,毎月複数誌で著作権侵害を続ける悪質極まりない出版社「ジーオーティー」」との記載があり,本件記事3のタイトル及び本文には「著作権侵害を繰り返す出版社「ジーオーティー」」との記載があり,本件記事4の本文には「出版社「(株)ジーオーティー」が発行する複数の雑誌に於いて著作権侵害されてきた」,「盗作をやめるどころかほぼ毎月のようにブログの記事を盗んで雑誌を作り,利益を貪るという悪行を続けている。」との記載がある。本件記事13及び4は,一般の読者の読み方に照らし,被告GOTが著作権侵害行為を繰り返しているとの印象を与えるから,出版社である被告GOTの名誉,信用等の社会的評価を低下させるものである。
() 本件記事5及び6について
 本件記事5及び6の記事には,被告GOTを明示する記載は全くないが,本件記事5の本文には「丁度1年前に発覚した出版社による著作権侵害。」,「ブログを削除させようと裏工作まで仕掛けてきた。」との記載があり,本件記事6の本文には「盗作及び著作権侵害をしておきながら自分たちに都合の悪い記事を次々と削除させ,」との記載があり,本件記事5及び6と同時に表示される投票プログラムには,「ジーオーティーの盗作行為についてどう思う?」との記載がある。本件記事5及び6の記載は,著作権侵害行為があったことを内容とするものであり,投票プログラムの記載も併せて読めば,著作権侵害行為をしたのが被告GOTであることは容易に特定することができるのであって,一般の読者の読み方に照らし,被告GOTが著作権侵害行為をしたとの印象を与えるから,出版社である被告GOTの名誉,信用等の社会的評価を低下させるものである。
() 投票プログラムについて
 投票プログラムには,「ジーオーティーの盗作行為についてどう思う?」との記載があるところ,このような記載は,一般の読者の読み方に照らし,被告GOTが著作権侵害行為をしたとの印象を与えるから,出版社である被告GOTの名誉,信用等の社会的評価を低下させるものである。
イ 被告ジップスについて
() 本件記事2について
 本件記事2の記事のタイトル及び本文に,「Bにまた盗作されていた」との記載があるが,Bが被告ジップスの代表取締役であることを一般の読者が認識しているということはできず,被告ジップスが著作権侵害行為を繰り返しているとの印象を与えるものとはいえないから,本件記事2が被告ジップスの名誉,信用等の社会的評価を低下させると認めることはできない
() 本件記事13ないし6及び投票プログラムについて
 本件記事13ないし6及び本件投票プログラムに,被告ジップスを示す記載は一切なく,これらが被告ジップスの名誉,信用等の社会的評価を低下させると認めることはできない。
(2) 違法性の阻却及び原告の故意又は過失の有無について
本件記事13ないし6及び投票プログラムの記載は,出版社である被告GOTが著作権侵害行為をした事実を内容とするものであり,原告がこれを本件ブログに掲載する行為は,企業の社会的責任に関するものとして,公共の利害に関する事実に係るものと認められる。
イ …によれば,本件ブログの「使用上の注意」欄に,「レポートは筆者の体験を基にした創作でありフィクションです。登場する人物・団体・広告はすべて架空のもので,実在するものとは一切関係がありません。掲載されている店の問い合わせには一切答えられません。」との記載があることが認められる。
 ところで,原告は,本件訴訟において,原告記事1及び2は,執筆者が自己の体験した風俗サービスをレポートするという表現形式を採用した全く架空の物語を内容とする小説であり,風俗サービスの内容,料金等を含めてすべて原告の創作であると主張するところ,これは,体験を基にした創作であるとする本件ブログの「使用上の注意」の記載と異なる。そして,原告は,本件記事4に「盗作によって直接な利益が出なくても,数万かかる取材費や原稿料が浮くだけでも十分な利益と言えるはず。」と記載し,本件記事5に「被害総額は取材費だけで40万円超!」と記載して,あたかも原告が風俗サービスを取材し,これを体験したかのように装って,本件記事において,被告GOTを,「悪質極まりない」,「利益を貪るという悪行を続けている」,「極悪非道すぎる」,「“悪”」などと評して攻撃しているのである。そうであるから,原告は,虚偽の事実を作出して被告GOTを非難し,これにより,ことさらに被告GOTの名誉,信用等の社会的評価を低下させることのみを目的としているといわなければならず,その目的が専ら公益を図るものであると認めることはできない
ウ そうすると,原告が,本件記事13ないし6及び投票プログラムの記載を本件ブログに掲載した行為は,違法性がないということはできない。
 また,そうであるから,原告には被告GOTの名誉,信用を毀損したことについて,故意があるといわなければならない。
(3) 被告らが受けた損害の額について
 本件に現れた一切の事情を考慮すれば,被告GOTは,原告による名誉,信用毀損行為により40万円の損害を被ったと認めるのが相当である。
(4) 本件記事13ないし6及び投票プログラムの記載は,被告GOTの名誉,信用等の社会的評価を低下させるものであり,これらの記事等が削除されない限り,被告GOTに更なる損害が発生することが予想されるから,被告GOTは,その名誉権に基づき,現に行われている侵害行為を排除するために,本件記事13ないし6及び投票プログラム等の記載の削除を求めることができるというべきである。











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