著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著作権の譲渡に関する準拠法(3)
「‘毎日オークション’事件」平成251220日東京地方裁判所(平成24()268 

 著作権移転の有無について
(1) 準拠法について
 著作権の移転について適用されるべき準拠法を決定するに当たっては,移転の原因関係である契約等の債権行為と,目的である著作権の物権類似の支配関係の変動とを区別し,それぞれの法律関係について別個に準拠法を決定すべきである。
 まず,著作権の移転の原因である債権行為に適用されるべき準拠法について判断するに,法の適用に関する通則法7条により,第一次的には当事者の選択に従ってその準拠法が定められるべきである。そして,フランス法人である原告協会と会員(大部分がフランス人)との間の著作権移転に関する契約については,フランス法を選択する意思であったと解される。
 次に,著作権の物権類似の支配関係の変動について適用されるべき準拠法について判断するに,一般に,物権の内容,効力,得喪の要件等は,目的物の所在地の法令を準拠法とすべきものとされ,法の適用に関する通則法13条は,その趣旨に基づくものである。著作権は,その権利の内容及び効力がこれを保護する国の法令によって定められ,また,著作物の利用について第三者に対する排他的効力を有するから,物権の得喪について所在地法が適用されるのと同様に,著作権という物権類似の支配関係の変動については,保護国の法令が準拠法となるものと解するのが相当である。このように,著作権の物権類似の支配関係の変動については,保護国である我が国の法令が準拠法となるが,著作権の移転の効力が原因となる譲渡契約の締結により直ちに生ずるとされている我が国の法令の下においては,原告協会と会員との間の著作権移転に関する契約が締結されたことにより,著作権は会員から原告協会に移転することになる。
 さらに,争いはないと解されるが,念のため付言するに,本件は,著作権侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求であり,不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は,法の適用に関する通則法17条により準拠法が定められるが,「加害行為の結果が発生した地」は我が国であるから,我が国の法令(民法,著作権法)が適用される(同法施行前は法例111項により「其原因タル事実ノ発生シタル地」を準拠法とするが,その地が我が国であることに変わりはない。)。
(2) そこで,原告協会と会員との著作権移転に関する契約について検討する。
 …によれば,原告協会の一般規約14条は,「作品は,その著作者,その作品の権利承継者,相続人,受遺者又は譲受人が当協会に加入した事実のみをもって,当協会の管理著作物として承認される。当協会への加入により,この一般規約第1条に規定された作品及び当該著作者の他のすべての作品(それがいかなる性質のものであるかを問わない)の諸権利は当協会に移転(apport)する。」と規定し,他方で,原告協会への入会申込書には,上記の規定に対応した記載があることが認められる。
 そうすると,原告協会の会員は,原告協会に加入することにより,その著作権が移転することを同意していたものと認められるから,原告協会に対する著作権の移転があったと認められ,その他著作権の移転を否定する事情は見当たらない。…
 (略)
(3) また,被告は,フランス破毀院の判決を引用して,美術家が集中管理団体に対する出資(apport)によって原告協会に加盟し著作権の管理を委託したとしても,当然に,その死後において,原告協会は当然に死亡した著作権者の相続財産となった損害賠償請求権を行使できるものではない旨主張する。
 
しかしながら,上記(1)のとおり,本件は,不法行為に基づく損害賠償請求であり,不法行為によって生ずる債権の成立及び効力については,我が国の法令(民法,著作権法)が適用される。そして,我が国の法令では,著作権侵害があれば不法行為が成立するのであり,著作権の移転後に譲渡人が死亡したとしても,不法行為の成否が左右されることはないから,被告の主張は理由がない。











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