著作権重要判例要旨[トップに戻る]







適法引用の要件(11)
「‘毎日オークション’事件」平成251220日東京地方裁判所(平成24()268 

 本件カタログにおいて美術作品を複製したことが適法引用(著作権法321項)に当たるかについて
 被告は,本件カタログにおいて美術作品を複製したことが適法引用(著作権法321項)に当たる旨主張するが,その主張の趣旨は,本件カタログにおける美術作品の作者,題号等の取引に必要な情報の記載が引用表現であり,美術作品の写真(複製物)が被引用著作物であると主張するものと解される。
 そこで検討するに,著作権法321項は,「公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」と規定するから,他人の著作物を引用して利用することが許されるためには,引用して利用する方法や態様が,報道,批評,研究等の引用するための各目的との関係で,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであり,かつ,引用して利用することが公正な慣行に合致することが必要である。
 本件カタログにおいて美術作品を複製する目的は,本件オークションにおける売買であることは明らかである。他方,本件カタログには,美術作品の写真に合わせて,ロット番号,作家名,作品名,予想落札価格,作品の情報等が掲載されるが,実際の本件カタログをみても,写真の大きさの方が上記情報等の記載の大きさを上回るものが多く,上記の情報等に眼目が置かれているとは解し難い。また,本件カタログの配布とは別に,出品された美術作品を確認できる下見会が行われていることなどに照らすと,上記の情報等と合わせて,美術作品の写真を掲載する必然性は見出せない。
 そうすると,本件カタログにおいて美術作品を複製するという利用の方法や態様が,本件オークションにおける売買という目的との関係で,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであるとは認められない。また,公正な慣行に合致することを肯定できる事情も認められない。
 
したがって,被告の主張は理由がない。











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