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百貨店の共同不法行為性を否定した事例
「百貨店テナント猫看板事件」平成26527日東京地方裁判所(平成25()13369 

【コメント】本件は、写真家である原告が、被告(百貨店)の店舗内に被告(会社)が設置した猫の写真等を多数並べて貼り付けた看板(「本件看板」)に原告が撮影した猫の写真(公表済み)又はその複製物を加工したものが使用されていたことについて、被告(会社)については原告の著作権(複製権又は翻案権)及び著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)の侵害行為があり、被告(百貨店)については被告(会社)の上記侵害行為を幇助し、又は被告(会社)に看板の設置場所を漫然と提供したことに過失があると主張して、被告らに対し、不法行為(民法709条・719条、著作権法1143項)に基づく損害金等の連帯支払並びに著作権法115条に基づく名誉回復措置を求めた事案です。


 被告(百貨店)の責任の有無について
(1) 原告は,まず,被告(百貨店)が被告(会社)による著作権及び著作者人格権の侵害行為を幇助したと主張する。
  そこで判断するに,原告は本件看板の作成行為及び本件売場への設置行為について著作権及び著作者人格権の侵害があると主張するところ,まず,本件看板の作成は被告(会社)により行われたものであって,作成行為自体に被告(百貨店)が関与したことをうかがわせる証拠はない。また,本件看板を本件売場に設置し,これを訪れた買物客らに見える状態に置くことは,それ自体として原告写真についての原告の著作権又は著作者人格権の侵害となるものではない(著作権法25条参照)。なお,原告は,本件各パネルを本件売場において組み立てて本件看板とする行為が著作権又は著作者人格権を侵害するものであって,被告(百貨店)はこれを幇助したとも主張するが,上記行為は複数のパネルを順番に並べるという単純な行為であって,これを独立の侵害行為とみることは相当でない。したがって,被告(百貨店)が被告(会社)による著作権等の侵害行為を幇助したと認めることはできない
(2) 原告は,次に,被告(百貨店)には百貨店としてテナントに対して適切な管理監督をする条理上の義務があり,また,本件の状況下において被告(会社)が著作権について明確な処理をしたか否かを精査する義務等があるところ,これらを怠ったことに不法行為責任を負う旨主張する。
 そこで判断するに,百貨店を経営する会社がテナントに対して著作権法に反する行為をしないよう適切な管理監督をする義務を負い,これに反したときは第三者に対して損害賠償責任を負うと解すべき根拠は見いだし難い。また,本件の関係各証拠上,被告(百貨店)が被告(会社)による著作権及び著作者人格権侵害の事実を知り,又はこれを容易に知り得たとは認められないから,原告の主張するような精査等の義務を負うと解することもできない。
(3) したがって,原告の主張はいずれも採用することができず,被告(百貨店)に対する原告の請求は理由がない。











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