著作権重要判例要旨[トップに戻る]







絵画の縮小カラーコピーの複製権侵害の成否(2)
絵画鑑定証書事件」平成26530日東京地方裁判所(平成22()27449 

【コメント】本件は、画家である亡Dの絵画につき、原告A及び原告Cが、Dの絵画の著作権を相続により取得して各2分の1の割合で共有するとして、被告に対し、絵画の鑑定証書の裏面にDの絵画の複製物を添付している被告の行為−(被告は、絵画の所有者がその所有する絵画を売買等する際に、それらの者から依頼を受けるなどして、Dの作品について「鑑定証書」と題する書面を作成し、ホログラムシールが貼付された鑑定証書の裏面に、作品のカラーコピーをパウチラミネート加工して添付していた(以下「本件行為」といい、鑑定証書の裏面に添付される絵画のカラーコピーを「本件コピー」という。)−は、原告らが共有する著作権(複製権)を侵害するものであると主張して、当該鑑定証書の作成頒布の差止めなどを求めた事案です。

 本件行為が複製に当たるかについて
(1) 著作物の複製とは,既存の著作物に依拠し,これと同一のものを作成し,又は,具体的な表現に修正,増減,変更等を加えても,新たに思想又は感情を創作的に表現することなく,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持し,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作成する行為をいうと解されるところ,本件鑑定証書に添付された本件コピーは,元の絵画の写真撮影を経て作成された縮小カラーコピーであり,その大きさは縦127cm,横178cmであって,被告自身が原画との同一性が確認できるよう作成しているとするものであって,本件行為は概ねこれと同様の行為であり,それら本件コピーの作製方法や,被告が本件コピーを鑑定証書に添付する目的からしても,原画の表現上の本質的な特徴との同一性を維持し,これに接する者がその表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものであることは明らかである。
 したがって,このような本件コピーを作成することを含む被告の本件行為は著作権法上の「複製」に該当するというべきである。
(2) この点に関して被告は,本件コピーは,美術の著作物の複製が著作権法上の複製に該当するために必要な鑑賞性を備えないから,本件行為は「複製」に該当しない旨主張する。
 しかし,絵画の複製について,「複製」の要件とは別途,その複製物とされる物につき鑑賞性を看取し得るか否かを要件とすべきとする法的根拠はなく,「複製」に当たるか否かについては前記(1)で示した基準により判断すべきものである。
 
したがって,被告の上記主張は採用することができない。











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