著作権重要判例要旨[トップに戻る]







1136項関係(6)
「楽曲CD引渡事件」平成27428日知的財産高等裁判所(平成27()10005

(4)ア また,控訴人は,被控訴人がコンサート興行収入を上げるために本件歌詞を被控訴人のコンサートでAの許容なく歌唱に用いることは,Aの職業的作詞家としての社会的名声信用にただ乗りする行為であって,Aの著作者人格権を侵害すると主張する。これは,被控訴人の行為は,著作権法1136項にいう「著作者の名誉,声望を害する方法によりその著作物を利用する行為」に該当するから,著作者人格権を侵害したものとみなされるという趣旨の主張と解される。
 そして,控訴人は,かかる請求が許される根拠として,控訴人が著作者であるAから著作者人格権の管理をゆだねられていると主張する。ここでいう管理権の委託の法的性質は必ずしも明らかではないが,Aが自ら訴訟追行できないような事情は見出せないから,信託法11条,弁護士法72条及び民事訴訟法54条の趣旨に照らせば,控訴人が任意的訴訟担当者として本件訴訟を提起しているという趣旨とは解することができず,したがって,控訴人は,差止請求を行う実体法上の権限を有すると主張していると解すべきことになる。
 しかしながら,Aからの管理委託の実体法的な性質が,譲渡,信託譲渡,委任のいずれを指すにせよ,著作権とは異なり,一身専属的な著作者人格権の侵害に関して,Aとは別人格である控訴人が,著作権法112条の差止請求の主体となり得る根拠は不明であるというほかない。
イ その点をおくとしても,著作権法1136項所定の行為に該当するか否かは,著作物の利用態様に着目して,社会的に見て,著作者の名誉又は声望を害するおそれがあると認められるか否かによって,決せられるべきであるところ,控訴人の主張は,著作者であるAの意図に反した著作物の利用であることを指摘するだけであって,被控訴人が本件歌詞をコンサートで歌唱するという行為態様だけでは,著作者の名誉又は声望を害するものに該当しないことは明らかである。しかも,Aが,当初,本件歌詞が被控訴人のコンサートで歌唱されることを承諾していたこと,その後の承諾に関する契約の解除の効力が認められないことは,既に述べたとおりであるから,更にその後のAの意思に反したとしても,被控訴人の本件歌唱行為は,Aの著作者人格権を侵害するものではない。
ウ したがって,著作者人格権の侵害のおそれについて判断するまでもなく,控訴人の主張は理由がない。











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