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二重起訴の禁止(2)
「‘生命の實相’関連書籍出版利用認請求事件」平成2627日東京地方裁判所(平成25()4710/平成261015日知的財産高等裁判所(平成26()10026

【コメント】本件は、原告が、被告に対し、出版使用許諾契約に基づく著作物利用権の確認を求めた事案です。
※参考:民事訴訟法142条(重複する訴えの提起の禁止)…「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」 


【原審】

 争点1(前訴との二重起訴の有無)について
 被告は,本訴は前訴と訴訟物を同じくする二重起訴であると主張する。
 しかし,前訴第3事件のうち原告から被告に対する訴えは,原告が,被告に対し,著作権法79条に規定される出版権の確認を求めた訴訟であり,同法63条に規定される著作物利用権(著作物の利用許諾を受けた者の債権的な権利)は訴訟物となっていなかったものと認められる。
 したがって,本訴は前訴との二重起訴には該当しないし,原告の出版権確認請求を棄却した前訴第1審判決の既判力が本訴に及ぶこともない。

【控訴審】

 争点1(本件訴えの適法性)について
(1) 被控訴人は,本件訴えは,前訴第3事件と当事者及び訴訟物を同じくするものであって,重複する訴えの提起の禁止(民訴法142条)に反し不適法である旨主張する。
(2) 前記前提事実記載のとおり,前訴第3事件は,控訴人が,本件書籍1ないし31を含む書籍等について,被控訴人との間の出版契約に基づいて出版権の設定を受けたにもかかわらず,被控訴人及び被控訴人補助参加人において,控訴人に無断で,上記書籍等の一部について現に出版及び販売を行い,また,上記書籍等の一部について今後出版を行うおそれがあるとして,被控訴人に対し,控訴人が本件書籍1ないし31を含む書籍等について出版権を有することの確認を求めるとともに,被控訴人及び被控訴人補助参加人に対し,本件書籍1ないし15及び31を含む書籍の出版等の差止を求めるものであり,上記確認請求に係る請求の趣旨の記載は,「被控訴人は控訴人に対し,控訴人が別紙書籍目録1ないし34記載の書籍(判決注・本件書籍1ないし31を含む)について出版権を有することを確認する。」というものである。
 そして,前訴第1審判決は,前訴第3事件について,「控訴人と被控訴人との間において,本件書籍について本件出版使用許諾契約を締結したことが認められるものの,本件出版使用許諾契約における許諾の内容が独占的排他的な出版権を設定するものであることを認めるに足りる証拠はない。かえって,本件出版使用許諾契約に係る契約書1条に,「甲は,乙に対し,この契約の表記の記載事項と約款に従い,本著作物に係る著作権を出版使用することを,著作権法第63条に基づき許諾する。」との規定があり,同規定中に「著作権法第63条に基づき」と明示されているとおり,本件出版使用許諾契約における許諾は,著作権法79条の出版権を設定する内容のものではなく,同法63条に基づく利用許諾にすぎないというべきであるから,独占的排他的なものであるとはいえない。したがって,本件書籍について独占的排他的な出版権の設定を受けたとの控訴人の主張は採用することができない。」などと判示して,控訴人の前訴第3事件請求をいずれも棄却し,同判決が確定したことは,前記前提事実記載のとおりである。
(3) 以上によれば,前訴第3事件において確認請求の対象とされたのは,独占的排他的な利用権であって,第三者に対しても直接差止等の請求をすることが可能な「出版権」,すなわち著作権法79条に規定される出版権であったと認められる。 一方,本件訴訟において確認請求の対象とされているのは,その請求の趣旨及び請求原因の記載によれば,著作権法63条に規定される,著作権者から著作物の利用を許諾された者の有する債権的な著作物利用権であると認められる。
 そうすると,本件訴訟における訴訟物は前訴第3事件における訴訟物とは異なるから,本件訴訟が前訴第3事件と重複する訴えであるとはいえず,また,前訴第1審判決の既判力が本件訴訟に及ぶこともない
 なお,前訴第1審判決においては,本件書籍について独占的排他的な出版権の設定を受けたとの控訴人の主張が理由がないものとして排斥されたため,被控訴人による本件出版使用許諾契約の更新拒絶の有効性については判断されていないのであって,前訴第3事件についての前訴第1審判決における判断を前提として,前訴第3事件における訴訟物とは異なる権利について確認を求める本件訴えが,実質的に前訴第3事件の蒸し返しに当たるなどともいえない。
(4) 以上によれば,本件訴えが不適法なものであるとして却下を求める被控訴人の上記主張は採用することができない。











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