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証書真否確認の訴え
「特許権譲渡文書真否確認請求事件」平成27210日東京地方裁判所(平成26()25384/平成27624日知的財産高等裁判所(平成27()10035 

【コメント】本件は、原告が、被告に対し、原告作成名義の別紙文書(以下「本件各文書」と総称する。)は偽造されたものであるなどと主張して、本件各文書が真正に成立したものではないことの確認を求めた事案です。
参照(民事訴訟法134-証書真否確認の訴え-)…「確認の訴えは、法律関係を証する書面の成立の真否を確定するためにも提起することができる。」


【 】…控訴審で追加・変更された箇所

1 争点(1)(本件訴えの適法性)について
(1) 民事訴訟法134条所定の「法律関係を証する書面」とは,書面自体の記載内容から直接に一定の現在の法律関係の存否が証明される書面をいうものと解される(最高裁昭和281015日判決参照)。
 これを本件についてみるに,本件各文書の記載内容は,別紙のとおり,「インターナショナル・システム・サービス株式会社 X専務取締役様」という宛名の下に,「借用金額が期日までに返済されなかった場合には,下記事項をお約束させて頂きます。」として,①原告所有の特許権の所有権を被告に移転する,②BSS-PACK及び部品マイスタに関する技術情報,ソースコード及びオブジェクトコードを被告に提出する,③原告は被告の指示に従った作業を中心に実施する会社になる,④原告代表者保有のBSSの株式を被告に提出することを約束するという趣旨の記載があり,末尾に原告の会社名及び代表取締役Yの記名並びに原告の押印がされている。
 以上のとおり,本件各文書は,そこに記載された「借用金額」,「期日」等の特定を欠いており,どのような場合に①~④の約束をするのかが明らかではないことからすれば,本件各文書について,直接に一定の現在の法律関係の存否が証明される書面であるとは認められない。したがって,本件各文書は同条所定の「法律関係を証する書面」に当たらない。
【(2)】これに対し,原告は,本件各文書中の「借用金額」及び「期日」は,別紙2及び3の各文書に記載された作成日と同じ日付けの借用証書を参照することにより特定されると主張するが,上記借用証書は本件各文書と一体性を有しない文書であり,本件各文書の記載から上記借用証書を参照すべきことは読み取れないから,原告の主張は採用できない。
 この点,控訴人は,被控訴人代理人の別件訴訟の弁論期日における弁論内容において,本件各文書は,本件借用証書に記載された被控訴人から控訴人への1000万円の融資に関連して作成された文書であることが明らかにされていることから,本件借用証書と本件各文書には一体性があるとし,したがって,本件各文書が「法律関係を証する書面」に当たるか否かを判断するに当たっては,本件借用証書を参照して本件各文書の記載内容を特定することができる旨を主張する。
 しかしながら,既に述べたとおり,民事訴訟法134条所定の「法律関係を証する書面」とは,書面自体の記載内容から直接に一定の現在の法律関係の存否が証明される書面をいうものと解されるのであるから,本件各文書がこれに当たるか否かの判断に当たっては,本件各文書の記載内容のみに基づいて判断されるべきであって,これとは別個の書面である本件借用証書を参照し,そこに記載された内容を補充して本件各書面の記載内容を特定することはできないというべきである。
 他方,仮に,本件各文書と本件借用証書とが,その体裁において一体となっていたり,本件各文書の記載自体において本件借用証書の記載を参照すべきこととされているような事情があるのであれば,両者を一体の書面とみて,本件借用証書を参照して本件各文書の記載内容を特定することも許される余地があると考えられるが,本件において,そのような事情は認められない。
 控訴人が上記で主張するのは,要するに,本件各文書それ自体の体裁や記載内容とは別の事情から,本件各文書が本件借用証書と関連する文書として作成された事実が認められるということにすぎず,そのような事実が認められるからといって,本件各文書が「法律関係を証する書面」に当たるか否かを判断するに当たって,本件借用証書を参照することができるとすべき理由はない。
 したがって,控訴人の上記主張は採用できない。
(3) また,控訴人は,別件東京地裁判決及び別件知財高裁判決が,別紙2及び3の各文書を証拠として一定の事実を認定したことを根拠に,本件各文書は「直接に一定の現在の法律関係の存否が証明され得る書面」である旨を主張する。
 この点,別件東京地裁判決においては,複数の証拠等に基づいて,控訴人が金融機関に譲渡担保に供していたBSSPACKのソフトウェアの著作権(著作権登録がされたもの)について,平成14930日に被控訴人が権利を取得したとの事実が認定され,また,別件知財高裁判決においても,複数の証拠等に基づいて,上記著作権について,被控訴人による権利取得を含む複数回の権利変動の事実が認定されていることが認められるところ,これらの判決が上記認定に当たって挙げた証拠の中には,別紙2及び3の各文書も含まれていることがうかがわれる。
 しかしながら,上記からいえることは,上記2つの判決によれば,別紙2及び3の各文書が,上記のような被控訴人による権利取得の事実の認定に資する証拠の1つであるということにすぎず,このことから直ちに,本件各文書が「書面自体の記載内容から直接に一定の現在の法律関係の存否が証明される書面」であるとの結論が導き出されるものではない。
 したがって,控訴人の上記主張も採用できない。
(4) 以上によれば,本件各文書は民事訴訟法134条所定の「法律関係を証する書面」には当たらないから,その余の点につき判断するまでもなく,本件訴えは不適法である。
2 結論
 
以上によれば,争点(2)について判断するまでもなく,本件訴えは不適法であるから,これを却下することとして,主文のとおり判決する。











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