著作権重要判例要旨[トップに戻る]







刑法161条の2と著作権法との関係
B-CASカード事件」平成26522日大阪高等裁判所(平成26()121 

【コメント】本件は刑事事件で、その要旨は、『B-CASカードに記録された電磁的記録は,刑法161条の21項,3項所定の「人の事務処理の用に供する権利,義務に関する電磁的記録」に該当し,被告人が,受信権限のない衛星放送を受信して視聴するために,これを改変する行為は,同条1項の不正作出に,改変したB-CASカードをテレビに接続された衛星放送受信可能なチューナー内蔵レコーダーに挿入する行為は,同条3項の供用に該当する。』というものです。
 なお、B-CASカードとは、『B-CAS社等が開発したICカードであって,これにより,「暗号化した番組の映像・音声等の信号を用い,限定された者が受信機で暗号を復号し,映像・音声等を受信して視聴すること」が可能となる。』というものです。

[参考:刑法1602電磁的記録不正作出及び供用]
1 人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
3 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。 


 弁護人は, 著作権法120条の2も,本件犯行後に改正された不正競争防止法210号,11号も,ユーザーが技術的制限手段の回避装置ないしプログラムを使用すること自体は,刑事罰の対象とされていないところ,このような他の法律の趣旨からみて,刑法においてユーザーによる技術的制限手段の回避行為まで処罰することは,罪刑法定主義に違反する旨主張する。
 
しかし,著作権法は著作権等の保護,不正競争防止法は事業者間の公正な競争をそれぞれ主たる保護法益とするのに対し,刑法161条の2は電磁的記録の果たす社会的に重要な機能に鑑みて電磁的記録に対する公共的信用を保護法益とするものであるなど,これらの法律は,犯罪構成要件の定め方のみならず,その立法趣旨や保護法益をも異にするものであるから,被告人の行為を一種の視聴制限回避行為や技術的制限手段回避行為として捉えるとしても,著作権法及び不正競争防止法がこれらの行為を刑事処罰の対象とはしていないからといって,これらと犯罪構成要件,立法趣旨や保護法益を異にする本罪の成立範囲が限定される,あるいはB-CASカードの改変とその使用について本罪を適用することが罪刑法定主義に反するとは解されない











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