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クラブにおけるピアノ生演奏等の侵害主体性
クラブチック事件平成26626日東京地方裁判所(平成24()32339 

【コメント】本件は、音楽著作権等管理事業者である原告が、被告らに対し、同被告らが経営するキャバクラの店舗内で原告が著作権を管理する楽曲をピアノ演奏して原告の著作権を侵害していると主張して、著作権法112条に基づく上記楽曲のピアノを使用しての生演奏の差止めを求めるなど求めた事案です。 


2 本件各店舗における原告管理楽曲のピアノを使用した生演奏等による著作権侵害の成否について
(1) ピアノ演奏について
 前記認定の事実によれば,被告ら3社は,本件各店舗において,その営業のために不特定多数の客に直接聞かせる目的で,業者から派遣されたピアニストに演奏楽曲リストに記載の原告管理楽曲などをピアノで演奏させたのであるから,これにより原告の著作権を侵害したものである。そして,ピアニストの演奏する曲目に演奏楽曲リストに記載の原告管理楽曲が多数含まれていることに加え,社交場実態調査の結果に照らすと,本件店舗@及びAについては本件仮処分決定まで,本件店舗Bについては閉店まで演奏楽曲リストに記載の原告管理楽曲(又はその二次的著作物)が少なくとも1日に10曲は演奏されていたと認めるのが相当である。
 被告らは,ピアニストの多くは本件各店舗においてジャズを自己流にアレンジして即興演奏をし,演奏されるのは原告管理楽曲の二次的著作物ではなく,全く別の新たな著作物であったと主張するが,原告担当者の社交場実態調査において演奏された曲目が判明していることや陳述書等の証拠において,Bら演奏者が原曲をそのまま,あるいはアレンジを加えて演奏した後にアドリブを加えていくとの趣旨を述べていることからすると,ピアニストが演奏した原告管理楽曲については,部分的に原曲そのまま,あるいは編曲したその二次的著作物が演奏されたものと認められる。被告らの上記主張は,採用することができない。
 被告らは,本件各店舗において,音楽の演奏等と収益とは関係がなく,設置されたピアノはインテリアとしての要素が圧倒的に強いなどと主張するが,本件各店舗がキャバクラであり,ピアノを設置して演奏している以上,これにより店の雰囲気作りをして,これを好む客の来集を図って営業上の利益を増大させることを意図していたことは明らかというべきである。被告らの上記主張は,採用することができない。
 また,被告らは,派遣されたピアニストが演奏していた原告管理楽曲はせいぜい14曲程度であったと主張するが,社交場実態調査の結果に照らして,たやすく採用し難い。
(2) カラオケについて
 前記認定の事実によれば,本件店舗Aの本件VIPルームにおいては,これを使用する不特定多数の客やフロアレディが操作してカラオケ楽曲リストに記載の原告管理楽曲の歌詞がモニターテレビに表示され,伴奏音楽が演奏されることにより上記原告管理楽曲の上映が行われ,客らがこれに合わせて歌唱することによりその演奏が行われていることが認められる。また,被告チックが,経営する本件店舗A内にある本件VIPルームに本件カラオケ装置等を設置して,これをホームページ上で宣伝していること,本件店舗Aはキャバクラという接客業であり,必要があれば被告チックのフロアレディ等従業員が客に本件カラオケ装置の操作方法等を教示すると考えられること,客は同被告が用意した曲目の範囲内で楽曲を選曲するほかないこと,本件VIPルームを使用するためには高額な入会金等を要することなどからすれば,上記上映の主体は同被告であり,また,客による歌唱も同被告の管理の下でされ,これにより同被告が営業上の利益を得ているということができるから,演奏の主体も同被告であると認められる。
 そうすると,被告チックは,カラオケ楽曲リストに記載の原告管理楽曲を,公衆に直接見せ,又は聞かせることを目的として演奏し,また,公に上映したものであるから,原告の著作権(演奏権及び上映権)を侵害したと認められる。…
3 被告トゥエンティーワンコミュニティによる著作権侵害の成否について
 被告トゥエンティーワンコミュニティが,本件各店舗におけるピアノ演奏や本件店舗Aにおける本件カラオケ装置等を利用した演奏及び上映を管理,支配し,また,これによって利益を得ていたと認めるに足りる証拠はない。そうであるから,同被告がこれらの行為の主体であるとは認められない。
 
原告は,同被告のホームページで本件各店舗をパーティ会場やテレビ,映画の舞台として紹介し,問合せや予約を受け付ける等してその営業に関与し,本件各店舗を経営していると主張する。しかしながら,前者については,キャバクラとしての営業に関するものではないから,同営業における演奏等を管理,支配していることの根拠とはならないし,後者についても,たとえ被告トゥエンティーワンコミュニティと被告ら3社が親子会社の関係にあるとしても,両者はそれぞれ別の法人で,本件証拠からは,被告トゥエンティーワンコミュニティが演奏等に具体的にどのように関与しているのかが判然としないから,被告トゥエンティーワンコミュニティが演奏等の主体であると認めるのは困難である。原告の上記主張は採用することができない。











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