著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著作権の譲渡に関する準拠法
「キューピー事件A」
平成130530日東京高等裁判所(平成12()7 

【コメント】下記の判決中、「法例10条(1項・2項)」は、「法の適用に関する通則法(以下、通則法という。)13条(1項・2項)」に、「法例71項」は、「通則法7条」に相当します。

[参考:通則法13条(物権及びその他の登記をすべき権利)]

1 動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利は、その目的物の所在地法による。
2 前項の規定にかかわらず、同項に規定する権利の得喪は、その原因となる事実が完成した当時におけるその目的物の所在地法による。

[参考:通則法7条(当事者による準拠法の選択)]

法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。
 


 そして、著作権の譲渡について適用されるべき準拠法を決定するに当たっては、譲渡の原因関係である契約等の債権行為と、目的である著作権の物権類似の支配関係の変動とを区別し、それぞれの法律関係について別個に準拠法を決定すべきである。
 まず、著作権の譲渡の原因である債権行為に適用されるべき準拠法について判断する。… 著作権移転の原因行為である譲渡契約の成立及び効力について適用されるべき準拠法は、法律行為の準拠法一般について規定する法例71項により、第一次的には当事者の意思に従うべきところ、著作権譲渡契約中でその準拠法について明示の合意がされていない場合であっても、契約の内容、当事者、目的物その他諸般の事情に照らし、当事者による黙示の準拠法の合意があると認められるときには、これによるべきである。控訴人の主張する本件著作権の譲渡契約は、アメリカ合衆国ミズーリ州法に基づいて設立された遺産財団が、我が国国民である控訴人に対し、我が国国内において効力を有する本件著作権を譲渡するというものであるから、同契約中で準拠法について明示の合意がされたことが明らかでない本件においては、我が国の法令を準拠法とする旨の黙示の合意が成立したものと推認するのが相当である。
 次に、著作権の物権類似の支配関係の変動について適用されるべき準拠法について判断する。一般に、物権の内容、効力、得喪の要件等は、目的物の所在地の法令を準拠法とすべきものとされ、法例10条は、その趣旨に基づくものであるが、その理由は、物権が物の直接的利用に関する権利であり、第三者に対する排他的効力を有することから、そのような権利関係については、目的物の所在地の法令を適用することが最も自然であり、権利の目的の達成及び第三者の利益保護という要請に最も適合することにあると解される。著作権は、その権利の内容及び効力がこれを保護する国(以下「保護国」という。)の法令によって定められ、また、著作物の利用について第三者に対する排他的効力を有するから、物権の得喪について所在地法が適用されるのと同様の理由により、著作権という物権類似の支配関係の変動については、保護国の法令が準拠法となるものと解するのが相当である。
 
そうすると、本件著作権の物権類似の支配関係の変動については、保護国である我が国の法令が準拠法となるから、著作権の移転の効力が原因となる譲渡契約の締結により直ちに生ずるとされている我が国の法令の下においては、上記の本件著作権譲渡契約が締結されたことにより、本件著作権は遺産財団から控訴人に移転したものというべきである。











相談してみる

ホームに戻る