著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著作権の譲渡に関する準拠法(2)
「ダリ展覧会事件」
平成150528日東京高等裁判所(平成12()4759 

【コメント】下記の判決中、「法例10条(1項・2項)」は、「法の適用に関する通則法(以下、通則法という。)13条(1項・2項)」に、「法例71項」は、「通則法7条」に、「法例26条」は、「通則法36条」にそれぞれ該当します。

[参考:通則法13条(物権及びその他の登記をすべき権利)]

1 動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利は、その目的物の所在地法による。
2 前項の規定にかかわらず、同項に規定する権利の得喪は、その原因となる事実が完成した当時におけるその目的物の所在地法による。

[参考:通則法7条(当事者による準拠法の選択)]

法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。

[参考:通則法36条(相続)]

相続は、被相続人の本国法による。 


 著作権の譲渡について適用されるべき準拠法を決定するに当たっては,譲渡の原因関係である契約等の債権行為と,目的である著作権の物権類似の支配関係の変動とを区別し,それぞれの法律関係について別個に準拠法を決定すべきである。著作権の譲渡の原因である債権行為に適用されるべき準拠法については,法例71項により,当事者の意思に従って定められるべきものであり,本件契約は,準拠法をスペイン法とする合意がされたから(本件契約第10条第1項),これに従うべきことは当然である。また,ダリの死亡による財産の相続は,法例26条により,被相続人の本国法であるスペイン法による。
 これに対し,本件著作権の物権類似の支配関係の変動について適用されるべき準拠法は,スペイン法ではなく,我が国の法令であると解される。すなわち,一般に,物権の内容,効力,得喪の要件等は,目的物の所在地の法令を準拠法とすべきものとされ,法例10条は,その趣旨に基づくものであるが,その理由は,物権が物の直接的利用に関する権利であり,第三者に対する排他的効力を有することから,そのような権利関係については,目的物の所在地の法令を適用することが最も自然であり,権利の目的の達成及び第三者の利益保護という要請に最も適合することにあると解される。著作権は,その権利の内容及び効力がこれを保護する国(以下「保護国」という。)の法令によって定められ,また,著作物の利用について第三者に対する排他的効力を有するから,物権の得喪について所在地法が適用されるのと同様の理由により,著作権という物権類似の支配関係の変動については,保護国の法令が準拠法となるものと解するのが相当である(東京高裁平成13530日判決参照)。
 
スペイン国及び我が国は,いずれも文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約パリ改正条約の同盟国であるから,同条約3(1)(a)及び我が国著作権法63号により,スペイン国民であったダリの本件著作物に係る本件著作権は,我が国においても保護される。我が国において保護される本件著作権の物権類似の支配関係の変動については,保護国である我が国の法令が準拠法となることは上記のとおりであるところ,我が国の法令は,著作権の移転の効力が原因となる譲渡契約の締結により直ちに生ずるとしているから,ダリと被控訴人が本件契約を締結したことにより,第三者に対する対外的関係において,ダリ作品に係る本件著作権は,ダリから被控訴人に移転したものというべきである。











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