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著作権移転登録(2)
「ダリ展覧会事件」
平成150528日東京高等裁判所(平成12()4759 

【コメント】本件は、二重譲渡の一方当事者が相手方の対抗要件の欠如を主張し得ない「背信的悪意者」には該当しないと認定した事例です。

 本件における「本件著作権」の「譲渡」(二重譲渡)の流れ(ルート)は、概ね次のとおりです。
第1のルート:[ダリ]⇒[被控訴人]
第2のルート:[ダリ]⇒[スペイン国・文化省]⇒[補助参加人]
 ※「控訴人」は、上記[補助参加人]から本件著作権の利用許諾を受けた者である。

 
本件では、「控訴人は,ダリから被控訴人に対する本件著作権の移転について法律上の利害関係を有する第三者である。」と認定した上で、以下のように続けています。 


 本件著作権の移転の対抗要件についても,保護国である我が国の法令が準拠法となるから,著作権法771号,781項により,被控訴人は,本件著作権の取得について対抗要件である著作権の移転登録を了しない限り,控訴人に対し,本件著作権に基づく請求をすることはできないところ,被控訴人は,この登録を了していないので,控訴人に対し,本件著作権を対抗し,これに基づく請求をすることができない
 被控訴人は,ダリが被控訴人に対し,本件契約によりダリ作品に係る著作権を2004(平成16)511日まで譲渡したことから,文化省がダリ作品に係る著作権の利用権を補助参加人に譲渡した当時,スペイン国は無権利者であったと主張する。しかしながら,スペイン国は,本件遺言によりその法律上の地位を包括承継し,文化省が勅令によりその利用権を付与されたのであるから,ダリが本件契約により被控訴人に対してした本件著作権の譲渡と,ダリの包括承継人であるスペイン国から補助参加人への本件著作権の譲渡とは,対抗関係に立つのであって,いずれかの譲渡について登録がされるなど,一方が確定的に有効となるまでの間は,いずれの譲渡も権利者による譲渡というべきであるから,スペイン国からの譲渡を無権利者によるものということはできない。
 被控訴人は,補助参加人について,本件契約が著作権の有効な譲渡契約であり被控訴人がその著作権者であることを知っており,スペイン国と結託して上記契約を締結したと主張する。しかしながら,スペイン国から補助参加人に本件著作権が譲渡された1995(平成7)当時,スペイン法人であり全世界のダリ作品に係る権利を扱うことが予定されていた補助参加人が,我が国において本件契約に係る著作権の譲渡が登録されていないことを知っていたなどということは,およそ考えられず,他に,補助参加人が本件著作権の移転登録が未了であることを奇貨として,あえて上記契約を締結したなど,対抗要件の欠如を主張し得ない第三者に当たることをうかがわせる証拠はない
 また,被控訴人は,補助参加人に対し警告したと主張するところ,我が国の法令の下で,第三者が上記背信的悪意者に該当するかどうかは,当該第三者が法律上の利害関係を有するに至った時点における認識を問題とするから,この点においても,被控訴人の主張は採用することができない。
 
さらに,被控訴人は,控訴人について,被控訴人の警告を無視して本件著作物の無断複製頒布に及んだと主張するが,補助参加人が背信的悪意者でない以上,補助参加人から本件著作権の利用許諾を受けた控訴人も,また,背信的悪意者であるとは認め難く,他に,控訴人が背信的悪意者に当たると認めるに足りる証拠はない。











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