著作権重要判例要旨[トップに戻る]







パロディー表現の可能性
「パロディ・モンタージュ写真事件」
昭和550328日最高裁判所第三小法廷判決昭和51()923補足意見 

【コメント】以下は、「パロディ・モンタージュ写真事件」における補足意見です。「パロディ」の著作権法上の扱い方について一定の示唆が含まれていると思います。

 なお、下記意見中「前記法301項第2の規定」とは、次の旧著作権法の規定を意味しています。

 [旧著作権法30条(著作権の制限)1項第2]

 1 既ニ発行シタル著作物ヲ左ノ方法ニ依リ複製スルハ偽作ト看做サス
 2 自己ノ著作物中ニ正当ノ範囲内ニ於テ節録引用スルコ 


 私は、以上に説示された当裁判所の見解が、一般にパロデイといわれている表現(その概念内容は必ずしも明確であるとはいいがたいと思われるが)のもつ意義や価値を故なく軽視したり否定することとなるものではないと考えるものである。しかしながら、一方において著作権を著作者の私権として保護すべきものとする要請と、他方において著作物が公共の財産としての一面をも有することに基づく社会的要請との調和をねらいとするものと考えられる著作権に関する実定法令(前記法301項第2の規定もその一例とみるべきものである。)に即して検討してみると、本件の場合のように、他人の著作物である写真(以下「原写真」という。)を目的としていわゆるフオト・モンタージユの技法によりパロデイ写真を作成するため、原写真の一部分をそのまま写真により複製して利用する場合には、写真というものの技術的性質から原写真のその部分をこれと寸分違わないかたちで取り込まざるをえないものであること、いわゆるパロデイの趣旨で原写真を取り込み利用するということは、必然的に原写真の外面的表現形式及び内面的表現形式にわたり多かれ少なかれ改変を加えるものであるとともに、写真が吾人の視覚に直接訴える表現媒体であるだけに、原写真を大きく取り込み利用するようなときには、原写真の完全性を損うものであるとの評価を免れることができず、しかも、右改変について原写真の著作者の同意を得ることは事の性質上不可能といってもよいと考えられること、他方、原写真の同一性がもはや完全に失われたと認められるほど細分された原写真の部分を利用してモンタージユしたのでは、恐らくそのパロデイとしての意義は著しく低くならざるをえないと思われること等の諸点を勘案すると、写真である原著作物を目的としてするフオト・モンタージユの技法によるパロデイといわれる表現には、前記のような写真の技術的性質及び写真が吾人の視覚に直接訴える表現媒体であることに起因して、原写真の著作者の著作者人格権、特にいわゆる同一性保持権との関連における宿命的な限界があると考えるほかはない。このような見地からすれば、本件モンタージユ写真は、右の限界を超えるものといわざるをえないものであり、その本件写真のパロデイとしての意義・価値を評価することはよいとしても、そのため、明文上の根拠なくして本件写真の著作者である上告人の著作者人格権を否定する結果となる解釈を採ることは、前述した実定法令の所期する調和を破るものであり、被上告人の一方に偏したものとして肯認しがたいところというべきである。また、このように解しても、本件において被上告人の意図するようなパロデイとしての表現の途が全く閉ざされるものとは考えられない(例えば、パロデイとしての表現上必要と考える範囲で本件写真の表現形式を模した写真を被上告人自ら撮影し、これにモンタージユの技法を施してするなどの方法が考えられよう。)から、上告人の一方に偏することとなるものでもないと思う。











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