著作権重要判例要旨[トップに戻る]







パロディー表現の可能性(2)
「書籍『チーズはどこへ消えた?』vs.『バターはどこへ溶けた?』事件」
平成131219日東京地方裁判所(平成13()22103 

【コメント】本件は、債務者らが「債務者書籍」(『バターはどこへ溶けた?』)を出版し、販売する行為は、債権者甲の有する著作権並びに債権者扶桑社の有する出版権及び編集著作権を侵害すると主張して、債権者らが債務者らに対して、出版等の差止め及び債務者書籍の廃棄を求めた事案の仮処分事件です。 

 一般に,先行する著作物の表現形式を真似て,その内容を風刺したり,おもしろおかしく批評することが,文学作品の形式の一つであるパロディーとして確立している。パロディーは,もとになる著作物の内容を踏まえて,これを批判等するものであるから,もとになる著作物を離れては成立し得ないものであり,内容的にも読者をしてもとになる著作物の思想感情を想起させるものである。しかし,パロディーという表現形式が文学において許されているといっても,そこには自ずから限界があり,パロディーの表現によりもとの著作物についての著作権を侵害することは許されないというべきである。
 (略)
 以上によれば,債務者書籍は本件著作物を前提にして,その説くところを批判し,風刺するものであって,債務者らの主張するとおりパロディーであると認められるが,前記でみたとおり,債務者書籍は,本件著作物とテーマを共通にし,あるいはそのアンチテーゼとしてのテーマを有するという点を超えて債権者甲の本件著作物についての具体的な記述をそのままあるいはささいな変更を加えて引き写した記述を少なからず含むものであって,表現として許される限界を超えるものである。
 
債務者らは,憲法で保障されている表現の自由の一つの行使態様として債務者らが債務者書籍を出版することは許される旨主張する。しかし,表現の自由といえども公共の福祉との関係,本件でいえば他者の著作権との関係での制約を免れることはできず,しかも債務者らとしては債権者甲の著作権を侵害することなく本件著作物の内容を風刺,批判する著作物を著作することもできたのであるから,上記のように解したとしても不当にパロディーの表現をする自由を制限するものではない。債務者らの主張は理由がない。











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