著作権重要判例要旨[トップに戻る]







既存の著作物への依拠性(7)-依拠性を否定した事例-
「古文単語語呂合わせ事件」平成110930日東京高等裁判所(平成11()1150 

【コメント】本件で一審原告は、自ら執筆した書籍(原告書籍)に掲載した古文単語と現代訳語とを結合して一連の意味のある語句や文章にした語呂合わせが一つ一つ創作性を有する著作物であり、一審被告が執筆した書籍(被告書籍)に掲載された語呂合わせは、それぞれ原告語呂合わせと実質的に同一又は類似であり、原告語呂合わせに依拠して作成されたものであるから、一審原告の有する著作権及び著作者人格権を侵害すると主張しました。これに対し、一審被告は、被告語呂合わせはいずれも独自に作成したものであり、原告書籍を参考にしていないし、依拠したこともないと主張して、争いました。

 控訴審では、(古語「あさまし」についての)「原告語呂合わせ1」と「被告語呂合わせ1」(下記参照)との同一性を認めつつ、次のように判示しました。
 (記)
 
「原告語呂合わせ1」…「朝めざましに驚くばかり。」
 「被告語呂合わせ1」…「朝目覚ましに驚き呆れる。」 


 次に、被告語呂合わせ[1]を作成するに当たり、原告語呂合わせ[1]への依拠があったか否かについて判断する。
 
確かに、原告書籍一と被告書籍一は、いずれも大学受験用に古文単語を語呂で記憶するための本であり、執筆目的が共通であること、原告書籍一は、被告書籍一の発行よりも8年程度以前から発行され、現在まで相当部数が販売されていることが認められる。
 他方、… 一般的に、古語に関する語呂合わせは、古語と現代語訳とを結び付けて、記憶しやすい一連の語句や文章として簡潔に表そうとするものであるところ、それぞれの古語や現代語訳自体は客観的に広く知られているものであるから、各作成者が独自に工夫しても、ある程度相互に似通った発想や表現が生じ得る必然性と可能性を有しているものであること、現に、原告書籍、被告書籍及び他の同種書籍に掲載された語呂合わせの中には、これらより前に発行された「ネコタン365」に掲載されている語呂合わせと類似した発想や表現を含むものがそれぞれ10%前後存在していること、当事者双方は、いずれも「ネコタン365」の存在を知らなかったし、参考にしたことはない旨主張するところ、それぞれその主張は信用することができるものであることが認められる。
 これらの事情を総合すると、被告語呂合わせ[1]は原告書籍一に依拠せずに、独自に創作したものである旨の当審における一審被告本人尋問の結果を信用できないものとすることはできず、他に一審被告の依拠の点を認めるに足りる証拠はない。
 (略)
 
以上によれば、被告語呂合わせ[1]の作成に当たり、原告語呂合わせ[1]への依拠があったものとは認められず、原告語呂合わせ[1]についても、一審原告の有する著作権及び著作者人格権の侵害はないというべきである。











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