著作権重要判例要旨[トップに戻る]







著作権と取得時効(2)
「早大名誉教授エスキース事件」
平成130918日東京高等裁判所(平成12()4816 

【コメント】「エスキース」とは、「建築家が建築物を設計するに当たり、その構想をフリーハンドで描いたスケッチ」を意味します。

[参考:民法163条(
所有権以外の財産権の取得時効)]

所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。


 本件エスキースの著作権の時効取得について
 控訴人は,早稲田大学は,早稲田大学と雇用関係にあるEを介し,昭和424月ころ,Dから本件エスキースを受け取り,それ以来,早稲田大学のために平穏かつ公然に本件エスキースの所有権・著作権を含む一切の権利を表象する本件エスキースの原画を継続して占有し,他の者の権利行使を排除しつつ使用保管し,10年を経過した昭和524月の時点でも,あるいは,占有の始めに善意・無過失が認められないとしても,20年を経過した昭和624月の時点でも,上記のとおりの占有を継続していたとし,早稲田大学が本件エスキースの著作権を時効取得したと主張する。
 所有権以外の財産権について取得時効が成立するためには,「自己のためにする意思をもって」,その権利の行使をしていたことが必要である(民法163条)。
 しかしながら,Eが,自己のためにする意思あるいは早稲田大学のためにする意思をもって本件エスキースについての権利行使をしていたことは,本件全証拠によっても認めることができない。むしろ,前記認定のとおり,Eは,Dから,本件エスキースを含む資料の寄託を受けていたものであるから,自己のためにする意思をもっていなかったことは,明らかというべきである。
 
したがって,控訴人の上記主張は,その余の点について検討するまでもなく,失当なことが明らかである。











相談してみる

ホームに戻る