著作権重要判例要旨[トップに戻る]







原著作者の権利
「『キャンディ・キャンディ』著作権確認等事件」平成131025日最高裁判所第一小法廷(平成12()798/平成110225日東京地方裁判所(平成9()19444/平成120330日東京高等裁判所(平成11()1602
 

【最高裁】

 
原審の適法に確定したところによれば,本件連載漫画は,被上告人が各回ごとの具体的なストーリーを創作し,これを400字詰め原稿用紙30枚から50枚程度の小説形式の原稿にし,上告人において,漫画化に当たって使用できないと思われる部分を除き,おおむねその原稿に依拠して漫画を作成するという手順を繰り返すことにより制作されたというのである。この事実関係によれば,本件連載漫画は被上告人作成の原稿を原著作物とする二次的著作物であるということができるから,被上告人は,本件連載漫画について原著作者の権利を有するものというべきである。そして,二次的著作物である本件連載漫画の利用に関し,原著作物の著作者である被上告人は本件連載漫画の著作者である上告人が有するものと同一の種類の権利を専有し,上告人の権利と被上告人の権利とが併存することになるのであるから,上告人の権利は上告人と被上告人の合意によらなければ行使することができないと解される。したがって,被上告人は,上告人が本件連載漫画の主人公キャンディを描いた本件原画を合意によることなく作成し,複製し,又は配布することの差止めを求めることができるというべきである。
 
以上によれば,被上告人が本件連載漫画の一部である本件コマ絵及び本件連載漫画の主人公キャンディの絵の複製である本件表紙絵につき原著作者の権利を有することの確認と,本件原画を作成し,複製し,又は配布することの差止めを求める被上告人の請求を認容すべきものとした原審の判断は,正当として是認することができる。…

【原審】

 
二次的著作物の著作権者であっても、原著作物の著作権者の許諾なく二次的著作物を利用することは許されない(。)

【控訴審】

 
控訴人は、漫画のコマ絵には、漫画のストーリーを表しているコマ絵と、ストーリーを表していないコマ絵とがあり、漫画の物語作者と絵画作者とが異なる場合、後者のコマ絵は、物語原稿に依拠しておらずその翻案とはいえないから、物語原稿の二次的著作物には当たらず、原著作者の権利は及ばないと主張する。
 
しかしながら、著作権法28条は、「二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。」と規定しており、この規定によれば、原著作物の著作権者は、結果として、二次的著作物の利用に関して、二次的著作物の著作者と同じ内容の権利を有することになることが明らかであり、他方、控訴人が、二次的著作物である本件連載漫画(本件連載漫画自体が被控訴人作成の物語原稿の二次的著作物であることは、原判決の認定するとおりであり、控訴人も、当審においてはこれを争っていない。)の著作者として、本件連載漫画の利用の一態様としての本件コマ絵の利用に関する権利を有することも明らかである以上、本件コマ絵につき、それがストーリーを表しているか否かにかかわりなく、被控訴人が控訴人と同一の権利を有することも、明らかというべきである。
 控訴人は、本件コマ絵につき被控訴人が権利を有するか否かを、それが物語原稿のストーリーを表しているか否かを基準として判定すべき旨を、物語原稿への依拠の有無と結び付けて強調するが、採用できない。二次的著作物は、その性質上、ある面からみれば、原著作物の創作性に依拠しそれを引き継ぐ要素(部分)と、二次的著作物の著作者の独自の創作性のみが発揮されている要素(部分)との双方を常に有するものであることは、当然のことというべきであるにもかかわらず、著作権法が上記のように上記両要素(部分)を区別することなく規定しているのは、一つには、上記両者を区別することが現実には困難又は不可能なことが多く、この区別を要求することになれば権利関係が著しく不安定にならざるを得ないこと、一つには、二次的著作物である以上、厳格にいえば、それを形成する要素(部分)で原著作物の創作性に依拠しないものはあり得ないとみることも可能であることから、両者を区別しないで、いずれも原著作物の創作性に依拠しているものとみなすことにしたものと考えるのが合理的であるからである。











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