著作権重要判例要旨[トップに戻る]







原著作者の権利(3)
「『どこまでも行こう』・『記念樹』/
JASRAC事件」平成151226日東京地方裁判所(平成15()8356 

【コメント】本件では、原著作物(「甲曲」)の著作権者(「原告」)の許諾なく編曲された二次的著作物(「乙曲」)に関する権利が信託契約の対象となって音楽著作権管理団体(「被告」)に譲渡され、当該被告が、継続的に音楽著作物利用者に対して当該楽曲(「乙曲」)の利用許諾をすることにより、その許諾を受けた利用者をして、当該楽曲(「乙曲」)の放送、録音、演奏等をさせていた、という事実関係がありました。

 
本件は、被告が、音楽著作物利用者に対し、原告の編曲権を侵害する乙曲を利用許諾した前記行為につき、原告が、被告に対し、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償を請求した事案です。 


 [27条について]
 27条は,「著作権者は,その著作物を翻訳し,編曲し,若しくは変形し,又は脚色し,映画化し,その他翻案する権利を専有する。」と規定し,法28条は,「二次的著作物の原著作物の著作者は,当該二次的著作物の利用に関し,この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。」と規定する。このように,法27条は,文言上,「著作物を編曲する権利を専有する」旨定めており,「編曲する」という用語に「編曲した著作物を複製する」とか「編曲した著作物を放送する」という意味が含まれると解することは困難である。そして,法27条とは別個に,法28条が,翻案した結果作成された二次的著作物の利用行為に関して,原著作物の著作権者に法21条から27条までの二次的著作物の経済的利用行為に対する権利を定めていることに照らせば,27条は,著作物の経済的利用に関する権利とは別個に,二次的著作物を創作するための原著作物の転用行為自体,すなわち編曲行為自体を規制する権利として規定されたものと解される。
 原告は,二次的著作物を利用許諾する行為に対しても,法27条の編曲権侵害が成立すると主張するが,そのように解すると,「編曲」の意味を法27条に例示された形態以上に極めて広く解することになるし,著作権法が法27条とは別個に法28条の規定を置いた意味を無にするものとなるから,法27条を理由とする原告の主張は,採用することができない。

 
[28条について]
 
本件において,甲曲について法27条の権利を専有する原告の許諾を受けずに創作された二次的著作物である乙曲に関して,原著作物である甲曲の著作権者は,法28条に基づき,乙曲を利用する権利を有するから,原告の許諾を得ずに被告から利用許諾を受けて乙曲を利用した者は,原告の法28条の権利を侵害することになり,原告は,上記利用者に対し,法27条に基づくのではなく,法28条に基づいて権利行使をすることができると解すべきである。
 
(略)
 したがって,原告は,編曲権を侵害して創作された乙曲を二次的著作物とする法28条の権利を有し,乙曲を利用する権利を専有するから,原告の許諾を得ることなく乙曲を利用した者は,原告の有する法28条の権利を侵害したものであり,上記利用者に乙曲の利用を許諾した被告は,上記権利侵害を惹起したものというべきである。











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