著作権重要判例要旨[トップに戻る]







ストーリー原作者と作画者との関係
「『キャンディ・キャンディ』著作権確認等事件」平成110225日東京地方裁判所(平成9()19444/平成120330日東京高等裁判所(平成11()1602
 

【原審】

 被告らは、本件連載漫画における登場人物の絵が専ら被告Bの独創によるものであり、そこには原告の創造性が全く介入していないとして、原告には、本件連載漫画の登場人物につき被告Bが新たに書き下ろす絵については、その作成等を差し止める権利はない旨を主張する。
 被告らの右主張の趣旨は、要するに、本件連載漫画における絵の部分は専ら被告Bが創作したのであるから、本件連載漫画を絵という表現形式においてのみ利用することは、被告Bの専権に属するというにある。しかしながら、前記認定のとおり、本件連載漫画は、原告の創作に係る原作という言語の著作物を、被告Bが漫画という別の表現形式に翻案することによって、新たな著作物として成立したものであり、右翻案に当たっては、漫画家である被告Bによる創作性が加えられ、特に絵については専ら被告Bの創作によって成立したことは当然のことというべきであるが、このようにして成立した本件連載漫画は、絵のみならず、ストーリー展開、人物の台詞や心理描写、コマの構成などの諸要素が不可分一体となった一つの著作物というべきなのであるから、本件連載漫画中の絵という表現の要素のみを取り上げて、それが専ら被告Bの創作によるからその部分のみの利用は被告Bの専権に属するということはできない。そして、前記のとおり、本件連載漫画が原告作成の原作との関係において、その二次的著作物であると認められる以上、原告は、絵という要素も含めた不可分一体の著作物である本件連載漫画に関し、原著作物の著作者として、本件連載漫画の著作者である被告Bと同様の権利を有することになるのであり、他方、本件原画のような本件連載漫画の登場人物を描いた絵は本件連載漫画における当該登場人物の絵の複製と認められるのであるから、これを作成、複製、又は配布する被告らの行為が、原告の有する複製権を侵害することになるのは当然である。

【控訴審】

 
この点について、控訴人は、漫画の物語作者と絵画作者とが異なる場合、キャラクター絵画の利用に関して物語作者に原著作者の権利を認めると、結果として、絵画作者は、以後、物語作者の許諾がない限り、当該キャラクター絵画を一切作成することができなくなるのみならず、類似するキャラクター絵画までも作成できないことになりかねないという、不当な結果を招くと主張する。しかし、そのようにはいえない。
 
まず、漫画の物語作者と絵画作者とは、互いに協力し合う者同士として、当該漫画の利用につきそれぞれが単独でなし得るところを、事前に契約によって定めることが可能である。明示の契約が成立していない場合であっても、当該漫画の利用の中には、その性質上、一方が単独で行い得ることが、両者間で黙示的に合意されていると解することの許されるものも存在するであろう。
 
次に、契約によって解決することができない場合であっても、著作権法65条は、共有著作権の行使につき、共有者全員の合意によらなければ行使できないとしつつ(2項)、各共有者は、正当な理由がない限り、合意の成立を妨げることができない(3項)とも定めており、この法意は、漫画の物語作者と絵画作者との関係についても当てはまるものというべきであるから、その活用により妥当な解決を求めることも可能であろう。
 また、確かに、同一の絵画作者が描く複数のキャラクター絵画が類似することは容易に考えられるところであるが、あるキャラクター絵画が、他の物語作者の作成に係るストーリーの二次的著作物と評価されるに至った以上、絵画作者は、新たなキャラクター絵画を描くに当たっては、右二次的著作物の翻案にならないように創作的工夫をするのが当然であり、それが不可能であるとする理由を見出すことはできない(例えば、二次的著作物の登場人物と目鼻立ちや髪型などがほとんど同じでも、別の人物という設定で描くことは可能であり、そのときには、右人物の絵の翻案とはならないであろう。)。











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