著作権重要判例要旨[トップに戻る]







日本舞踊の家元の著作者性
「日本舞踊振付著作権確認等請求事件」平成141226日福岡高等裁判所(平成11()358 

【コメント】本件は、日本舞踊A流の創始者で家元の地位にあった「被控訴人」が、その長女で、いったん二代目家元の地位を継承すると公表された控訴人aらに対し、控訴人aらは被控訴人にことわりなく同人が振付をした舞踊の公演をしたとして、著作権を有することの確認及び著作権に基づく今後の上演禁止等を求めた事案の控訴審です。 

 A流においては,群舞の振付は,一人が頭の中だけで行うのでなく,一定の構想の下,集団が実際の動きをしてみて,各人の動きと全体の動きに修正を加えながら,時間をかけて完成していく方法がとられていた。
 
被控訴人は,その過程において,音曲の選定や動きの構想等当初の段階から作成に関与することもあれば,ある程度出来上がった作品に演出を加えるにとどまることもあり,関与の程度は作品により濃淡があった。ただ,A流として発表される作品については,最終段階で必ずチェックをし,原則として被控訴人の了承なしに公表されることはなかった。
 
この点につき,控訴人aは,被控訴人は批評をするのみで,その了解を得なければ発表できないものではなかった旨供述する。
 
しかし,前記のとおり,被控訴人はA流内において絶大な権威,発言力を有しており,活動の中心たる舞踊においては象徴的地位を有していた。また,対外的には,A流イコール被控訴人であり,外部からはA流として発表される作品は被控訴人の作品として受け取られていた。
 このような状況の下では被控訴人の目の通らない作品や被控訴人の意向に添わない作品がA流の作品として発表されることは到底考えられない。
 よって,少なくともA流の名を冠した作品については,被控訴人は最終責任者としての役割を果たし続けてきたと見るのが相当であり,これに反する控訴人aの供述は採用することができない。
 
以上によれば,被控訴人はA流において絶大な地位を占めており,同派は被控訴人の個人組織であるといっても過言ではなかったものであるところ,作品の振付においても,その関与の程度に濃淡はあるものの,同派の名を冠した作品については,少なくとも最終段階では被控訴人が総監督として必ずこれをチェックし,被控訴人の了承なしに発表することはなかったのであるから,被控訴人が特に他の者の著作権とすることを了承したとか,その作品の完成のいずれの段階にもまったく関与しなかった等特段の事情がある場合を除いては,A流として振り付けられた作品の著作権は被控訴人に帰属すると解するのが相当である。











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