著作権重要判例要旨[トップに戻る]







複製における同一性(5)
「多摩地方史跡巡りガイドブック出版事件」平成130123日東京地方裁判所(平成11()13552 

 被告書籍のうち対照表左欄記載の各記述部分が、原告著作物一の同右欄記載の記述部分の複製に当たるというためには、被告らが原告著作物一に接し、これに依拠して同左欄記載の各記述部分を執筆したことのほかに、右各記述部分が原告著作物一の対応部分と著作物としての同一性、すなわち著作物の本質的特徴を感得しうる程度の同一性を有することを要するというべきである。本件において、被告らが原告著作物一を少なくとも参照したことは当事者間に争いがないので、依拠の点は認められるというべきである。
 
原告著作物一と被告書籍の右各記述部分が同一性を有するかどうかは、原告著作物一と被告書籍の著作物としての態様、叙述内容、叙述形式等を参酌のうえ、原告著作物一と被告書籍の各記述部分の表現形式を対比して、被告書籍における記述部分から、原告著作物一における記述部分の本質的特徴を感得しうるか否かによって決すべきである。
 (略)
 たしかに、右に認定したように、原告著作物一と被告書籍は、いずれも新選組に関する多摩地方の史跡という同一の場所につき、同一の史実、歴史上の人物及びこれに到達するために用いる同一の交通機関を対象として、これを紹介し、客観的に記述し、地図等で説明するという内容・表現態様の論稿であるから、記述された内容が事実として同一であることは当然にあり得るものであるし、場合によっては記述された事実の内容が同一であるのみならず、具体的な表現も、部分的に同一ないし類似となることがあり得ると考えられる。しかしながら、右のようにほとんど一字一句同じというのであるから、単に対象とする史跡や史実等が同じということが、このような同一性を生じた原因と解するのは相当でなく、被告らが原告著作物一をそのまま模倣したことによるものと認めざるを得ない。
 右に判示した文章部分同様、被告書籍に掲載されている地図から、原告著作物一に掲載されている地図の本質的特徴が感得し得れば、同一性が肯定できるものというべきである。原告著作物一に掲載されている地図のうち、前記で創作性が認められるとした地図、殊に墓所の見取図等は、いずれも美術的要素が強いものであるので、これに見られる本質的特徴の部分が被告書籍の該当部分に見られるかを検討すべきである。
 (略)
 
以上によれば、被告書籍中の対照表に掲記の部分は、前記で創作性が認められないとした部分を除き、同表の原告著作物一の該当部分の本質的特徴を感得しうる程度に、これと同一性を有するものであるから、その複製ということができる。











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