著作権重要判例要旨[トップに戻る]







黙示の利用許諾を認定した事例(4)-黙示の包括的許諾を認定した例-
「伝記文学『コルチャック先生』vs.
戯曲『コルチャック先生』事件」平成140918日大阪高等裁判所(平成14()287 

 上記引用に係る認定事実,ことに@平成41月上旬,控訴人がイスラエルの被控訴人B方に滞在した際,被控訴人が控訴人に対し,コルチャックの生涯の劇化の構想を述べ,被控訴人Bがその脚本を書くのに控訴人著作を参考にしてよいかと尋ねたところ,控訴人は,「一緒に雑魚寝をし,飯を食べた仲。それに,その本は井上君が活躍し,伊藤さんのおかげで出たもの。本はもちろん手許の資料も好きなだけ使ってください。だが友人の間でそんなことを聞く方がおかしい。」と述べていること,A控訴人は,本件戯曲の第1稿(前記で控訴人著作の複製・翻案と認められる部分が既に描写されている。)について,気がついた点について被控訴人Bの原稿に自ら手を入れたり,被控訴人宛の書簡等で指摘し,また,控訴人の講演において,本件戯曲の第1稿の一部を一般聴衆に披露していること,B控訴人は,本件戯曲の最終稿である第4稿についても,サムエルとギエナのエピソードは事実無根との指摘を行ったものの,控訴人著作の利用自体については特に異議を述べていないことなどに照らすと,控訴人は,被控訴人Bに対し,本件戯曲制作に当たって控訴人著作を使用することについて,包括的許諾を行ったものと認めるのが相当である。
 
(略)
 控訴人は,許諾に係る書面が作成されていないことを問題とするが,…から窺える控訴人と被控訴人Bの親密な関係に照らせば,書面の作成がなくとも,控訴人が許諾したと認めることは不自然とはいえない。…
 また,控訴人は,被控訴人Bの本件戯曲創作に当たっての控訴人著作の利用に関し,利用の範囲,許諾内容,許諾料等が約定されていないことを指摘する。しかし,原判決引用に係る前記の認定事実に徴すると,昭和611月ころに知り合った以降の控訴人と被控訴人Bの交友状況や,被控訴人Bの尽力もあって控訴人著作の出版に漕ぎ着けられたことなどもあり,孤児院等の運営や児童の教育に関するコルチャックの思想,実践活動を日本等に普及させるという控訴人と被控訴人Bの一致した方針のもと,控訴人が被控訴人Bによる本件戯曲の制作に控訴人著作の利用を含めて全面的に支援・協力していく旨意思表明していたのであって,両名の関係は,控訴人著作の利用に関し,利用の範囲,許諾内容,許諾料等を問題として許諾するか否かを決めるというようなものではなく,何の留保もなく,当然に包括的に許諾を与える間柄であったというべきである。したがって,控訴人の前記主張を採用することはできない。
 
(略)
 
したがって,前記のとおり本件戯曲において,控訴人著作の複製又は翻案と認められる部分が複数箇所存するとしても,いずれも控訴人の事前の包括的許諾に基づき利用されたものである以上,被控訴人Bによる本件戯曲の制作及び被控訴人Cによる本件戯曲の出版は,いずれも控訴人著作物に関する複製権ないし翻案権を侵害するものとはいえない。











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