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イラストの改変行為を同一性保持権侵害と認定した事例
「広告宣伝用パンフレットイラスト無断改変事件」昭和480727日東京地方裁判所(昭和47()7736 

【コメント】本件で問題となった「本件イラスト」は、原告が、被告の依頼に基づいて制作したもので、被告が、訴外伊藤忠海洋開発室から、シーサイド・レジヤー用の機械器具の販売、施設施工の受註のため広告宣伝用として配布するパンフレツトの注文を受けて、そのパンフレツトの一部として使用するためのものでした。

 
本件イラストについて、発注元の海洋開発室から「海の色が激し過ぎる。海水淡水化装置が表示されていない。」との苦情が出たので、「被告社員A」は、原告に対し、電話で、海の色を変えるについて連絡したところ、原告からは、印刷の時に変えたらよかろうと返答されただけで、「本件イラストに手を入れるについての承諾は得られなかったが、印刷に付すべき時期が切迫していたので、Aは、海洋開発室のCと協議しながら、みずから筆をとつて、本件イラストの透明で鮮やかな、青インキで塗られていた海の色をポスターカラーで一様に塗り重ね、あわせて、子供の国、モータープール、青年の家(ユースホテル)、ダイビングクラブの各地面の色、ビジターセンター、ダイビングクラブの各屋根および定期船の色および草の色をそれぞれ塗り替え、海水淡水化装置が脱落していたのでこれを書き加え、海中展望塔、ダイビングセンターを描き替え、これを印刷に回して、目的のパンフレツトを作成した」という事実がありました。 


 更に、被告は、前記被告の改変行為は、著作権法第20条第2項第3号(管理人注:現4号)の「著作物の性質並びにその利用の目的および態様に照らしやむを得ない」ものであるから、原告は、著作物の同一性保持権は主張できない旨主張するが、本件イラストの前記利用の目的および態様からしても、被告のした前示改変行為は、とうてい、やむをえないものということはできないから、この被告の主張も採用できない。
 
そうだとすると、被告社員Aが被告会社の職務の執行としていた前記本件イラストの改変行為は、原告の本件イラストにつき有する同一性保持権を侵害するものといわなければならず、被告は、これによつて被つた原告の精神的損害を賠償する責任がある。











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