著作権重要判例要旨[トップに戻る]







漫画コマ割りの配置の変更を同一性保持権侵害と認定した事例
「『ゴーマニズム宣言』事件」
平成120425日東京高等裁判所(平成11()4783 

【コメント】本件は、漫画家である原告(控訴人)が、原告の創作した漫画のカットを採録した書籍の著者、発行者である被告らに対し、当該採録されたカットの一部は原告の意に反して改変されているから同一性保持権を侵害している等と主張して、被告書籍の出版の差止め等を求めた事案の控訴審です。

 
本件で問題とされたカットのうち、「カット37」(原カットのコマ割りの配置を変更したもの)については、その同一性保持権の侵害を認定しました。 


 [カット37について]
 
カット37において原カット()の配置が変更されていることは、著作権法201項にいう「改変」に当たるものである。
 
被控訴人らは、右綴じで横方向に読み進む漫画においては、左端のコマと下段の一コマ目のコマは連続しているから、複数のコマのうち、レイアウトの都合から左端のコマのみを下段に引用しても、改変に当たらないと主張する。
 
しかし、例えば学術論文において、著作者が改行しなかった箇所を、出版する際に出版者が改行したという例を考えれば分かるように、読み進む順序が変わらないからといって、同項にいう「改変」に当たらないというものではない
 本件についてこれをみると、原カット()においては、第三コマの人物像が第一、二コマの左側に書かれ、その視線と指さした指の方向が第二コマを向いているのに対し、カット37においては、第三コマの人物像は、第一、二コマの下方にあって、その視線は、その右の空白ないしその先の第一、二コマの右の方に向いており、原カット()における、第一、第二コマと第三コマの位置関係を用いた表現が改変されていることは明らかである。
 
(略)
 
… これらの事実に照らせば、カット37において原カット()の配置を変更したのは、被控訴人書籍のレイアウトの都合を不当に重視して原カット()における控訴人の表現を不当に軽視したものというほかはなく、被控訴人ら主張に係る著作物の性質、引用の目的及び態様を前提としても、カット37の右改変を、著作権法2024号の「やむを得ない改変」に当たるということはできない











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