著作権重要判例要旨[トップに戻る]







街路灯の完成予想図の複製権侵害の成否
「‘新世界’街路灯デザイン事件」平成120606日大阪地方裁判所(平成11()2377
 

【コメント】本件は、原告(照明器具の卸販売、電気工事業等を目的とする会社)が、商店街に設置する新しい装飾街路灯の完成予想図(「本件デザイン図」)を作成したところ、被告(大阪市)が、当該商店街において装飾街路灯(「本件街路灯」)の設置工事(「本件工事」)を実施するに当たっての設計図(「本件設計図」)を作成し、他社に本件工事を行わせたという事情の下、原告が、被告に対し、「本件デザイン図は美術の著作物又は美術工芸品として著作物性を有し、原告がその著作権を有するところ、被告は、@本件デザイン図に基づき本件設計図を作成し、A本件デザイン図に描かれた街路灯と類似する本件街路灯を製作、設置して、原告が有する本件デザイン図の複製権又は翻案権を侵害した」などと主張して、損害賠償を請求した事案です。 

 本件デザイン図は別紙添付図面のとおりのものであるところ、本件デザイン図そのものは、全体としては本件街路灯を街路に配置した完成予想図であり、構図や色彩等の絵画的な表現形式の点において、「思想又は感情を創作的に表現したもの」と評価することができ、「美術の範囲に属するもの」というべきであるから、美術の著作物に当たるものと認められる。そして、本件デザイン図自体の著作物性を右のように把握する場合には、その複製又は翻案とは、その絵画的な表現形式での創作性を有形的に再製することを意味することになる。
 
この観点から、まず本件設計図が本件デザイン図を複製又は翻案したものであるかを検討すると、本件設計図は本件街路灯についての技術的な設計図にすぎず、これが本件デザイン図の絵画的な表現形式の創作性を有形的に再製したものとはおよそ認められない。したがって、被告による本件設計図の作成が本件デザイン図の複製権又は翻案権を侵害するものとはいえない。
 
また、本件街路灯を製作、設置する行為は、本件デザイン図の絵画的な表現形式の創作性を有形的に再製する行為とはおよそいえないから、右行為が本件デザイン図の複製権又は翻案権を侵害するともいえない。

【コメント】ちなみに、本ケースの控訴審(平成130123日大阪高等裁判所(平成12()2393)では、次のように、本件デザイン図についての著作物性そのものを否定しました:

 
「本件デザイン図は、原判決添付別紙図面のとおりのもので、装飾街路灯を街路に配置した完成予想図である。そして、全体としての構図や色彩、コントラスト等において絵画的な表現形式が取られているものの、右街路灯のデザインが街角でどのように反映するかをイメージ的に描いたものにすぎず、その表現も専ら街路灯デザインを引き立て、これを強調するにとどまっている。
 
したがって、本件デザイン図は、それ自体、美的表現を追求し美的鑑賞の対象とする目的で製作されたものでなく、かつ、内容的にも、純粋美術としての性質を是認し得るような思想又は感情の高度の創作的表現まで未だ看取し得るものではないから、美術の著作物に当たるものとは認められない。」 












相談してみる

ホームに戻る