著作権重要判例要旨[トップに戻る]







同一企画案に基づく2つのシナリオの翻案性が問題となった事例
「シナリオ『ザ・心臓』vs.『ドナー』事件」
平成20523日東京地方裁判所(昭和61()8672 

 右認定の事実によれば、原告は、昭和587月、原告の前記企画を基にした映画を製作するために、東和及びキネ・ユニイクと右映画の企画準備について前記のとおり合意していたところ、東和及びキネ・ユニイクは、原告シナリオを右映画のシナリオに使うことは適当ではないと判断していたことから、被告に対し、原告の前記企画を前提としたうえで、原告シナリオとは別個のシナリオを執筆することを依頼し、被告は、右依頼を受けて、被告シナリオを執筆したこと、原告は、同年8月ころは、被告が右映画のシナリオを執筆することに反対していたものの、同年9月には、キネ・ユニイクの副社長との間で、被告が原告の前記企画に基づいて映画のシナリオを執筆することに同意し、同月5日から同月18日までの間、被告が右映画のシナリオを執筆するための取材旅行であることを知りながら、被告とともに、アメリカへ旅行に行ったこと、また、被告シナリオ完成後に、被告シナリオを右映画のシナリオとして使用することが最終的に決定された場合には、原告には原作料が支払われる予定であったこと、以上の事実が認められる。右事実に基づいて考察するに、被告は、原告の企画、すなわち、「テレビのクイズ番組の優勝者である主人公がその賞品に心臓移植手術を希望し、その家族に心臓移植手術を受けさせるためにアメリカに行き、バブーンの心臓移植手術を受ける。」との企画を前提として映画のシナリオの執筆の依頼を受けたというのであるから、仮に前認定の原告シナリオの基本的な枠組みに著作物性が認められ、しかも、被告シナリオが基本的な枠組みにおいて原告シナリオと共通であるとしても、それは、原告の許諾に基づくものというべきところ、被告シナリオは、前認定のとおり、基本的な枠組みにおいて原告シナリオと類似しているけれども、サブテーマ、登場人物のキャラクター、ストーリー展開等において、原告シナリオと異なりそれ自体独自性を有するのであるから、被告シナリオと右類似している部分については、少なくとも原告の許諾の範囲内において執筆されたものであり、また、独自性を有する部分については、被告シナリオとは別個独立に執筆されたものであって、その翻案には当たらないものと認めるのが相当である。結局、被告シナリオの執筆は、全体として原告が原告シナリオについて有する翻案権の侵害を構成しないものといわざるをえない。











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