著作権重要判例要旨[トップに戻る]







ブロードバンド回線、サーバーの提供者を侵害行為の「幇助者」と認定した事例
「インターネット有名漫画自動公衆送信事件」
平成190913日東京地方裁判所(平成19()6415 

【コメント】本件は、漫画家である原告らが、その著作に係る漫画を「被告ら」により無断でインターネットのウェブサイトを通じて自動公衆送信されたとして、被告らに対し、著作権(公衆送信権)の侵害に基づく不法行為による損害賠償をそれぞれ求めた事案です。

 なお、「被告ら」とは、次の者をいいます。
「被告ネットカフェ」…インターネットコンテンツの企画、制作及び販売等を目的とする株式会社
「被告SSK」…インターネットカフェの経営をしている株式会社
「被告L」…被告ネットカフェのかつての代表取締役(現在は取締役)であり、また被告SSKの代表取締役であった者
「被告M」…被告ネットカフェの代表取締役 


 被告ネットカフェ及び被告SSKは本件侵害行為の幇助者に該当するか
 
被告L及び被告Mが,共謀の上,平成17917日から同18125日までの間,東京都大田区の…において,原告らの本件著作物を含む多数の漫画単行本を裁断し,スキャナーを用いて画像を読み取り,読み取った画像ファイル(各漫画単行本の全ページにわたるもの)を,同所に設置したサーバーを用いて,本件ウェブサイトを通じて,電気通信回線を使用してインターネットを利用する不特定多数の者に自動公衆送信が可能な状態にし,かつ実際に自動公衆送信を行ったこと(すなわち,本件侵害行為をしたこと)は,当事者間に争いがない。
 
被告らは,被告ネットカフェは本件侵害行為に関与していない,と主張する。
 
確かに,被告ら主張のとおり,本件ウェブサイトの登録者の名義は被告L個人であり,本件ウェブサイトの会員から会費の納入を受ける銀行口座も被告L個人名義であって,本件侵害行為をした場所である「…」についても,本件侵害行為の開始前である平成1791日付けで賃借人を被告SSKから被告L個人に変更済みであることがそれぞれ認められる。
 
しかしながら,被告ネットカフェが本件侵害行為に使用されたインターネット・ブロードバンド回線契約を株式会社USENとの間で締結したことは,当事者間に争いがない。
 
この点について,被告らは,被告Lが独断で被告ネットカフェの名義を用いたにすぎず,被告ネットカフェは回線料の支払も行っていない,と主張する。しかし,…によれば,被告ネットカフェが,旧商号である「10key.jp株式会社」(代表取締役は被告M)の名前で,平成17810日付けで,株式会社USENに対して,料金は会社名義で振り込むことを前提にして,インターネット・ブロードバンド回線サービスの加入契約の申込みをしていることが認められるから,被告らの上記主張は採用することができない。
 
そして,本件ウェブサイトは,当初は被告Lが漫画の古本をインターネットを通じて販売する目的で立ち上げられたものであったものの,被告Lのアイデアで漫画の単行本を画像ファイル化してインターネット上で閲覧可能にするためのものに性格を変えていったものである。また,本件侵害行為である自動公衆送信が開始される平成17917日までの間には相当の準備期間が必要であったことは容易に推認することができるから,被告ネットカフェが上記契約の申込みをした同年810日当時には,既に被告ネットカフェの代表者である被告Mも被告Lと本件侵害行為の開始に向けて共謀関係にあったと認めるのが相当である。
 
したがって,被告ネットカフェは,本件侵害行為に使用されるインターネット・ブロードバンド回線を被告L及び被告Mに提供することによって本件侵害行為を幇助したというべきであり,かつ,その代表者であった被告Mについて故意が認められるから,被告ネットカフェは,本件侵害行為について幇助者としての共同不法行為責任を免れない
 
被告らは,被告SSKも本件侵害行為に関与していない,と主張する。
 
しかし,本件侵害行為に使用されたサーバーは,被告SSK名義で購入されたことは,当事者間に争いがない。
 
この点について,被告らは,平成17427日に被告Lがその購入代金80万円を被告SSKに入金したものである,と主張する。しかし,被告SSKが,サーバーの購入資金をどのようにして調達したとしても,上記サーバーの購入主体が被告SSKであり,その所有権が同社にあったこと自体は,上記事実から見て明らかである。
 被告Lは,上記サーバーの購入当時,被告SSKの代表取締役であった者であり,平成171116日付けで同人が作成した「464.jp概要説明書」と題する書面において,「約3年間をかけて,試行錯誤を続けながら,画像配信ソフト,漫画の本のデータ蓄積,作品別の著作権料支払いデータ収集,著作権料徴収プログラム,配信サーバー確立などを多大な費用をかけて構築してきたのが,現在の464.jpです」と自認するところであるから,被告SSKは,上記サーバーを本件侵害行為のために必要なシステムとして構成し,被告L及び被告Mに提供するために購入したものということができ,この点において本件侵害行為を幇助したというべきであり,かつ,その代表者であった被告Lについて故意が認められるから,被告SSKは,本件侵害行為について幇助者としての共同不法行為責任を免れない











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