著作権重要判例要旨[トップに戻る]







60条の適用解釈が問題となった事例(2)
「観音像仏頭部すげ替え事件平成210528日東京地方裁判所(平成19()23883 

【コメント】本件では、美術の著作物である観音像について、その原作品の所有者である被告(寺)が当該観音像の著作者の死後に他人(別の被告)に依頼して仏頭部をすげ替えて、公衆の観覧に供していることが(以下、仏頭部すげ替え前の観音像を「本件原観音像」、仏頭部すげ替え後の観音像を「本件観音像」という。)、本件原観音像に係る著作者人格権(同一性保持権)及び著作権(展示権)の侵害に当たるかどうかが主要な論点として争われました。 

 E4(亡E2)が,美術の著作物である本件原観音像の著作者であること,E4が平成11928日に死亡したこと,被告光源寺が本件原観音像を本件観音堂内に祀り,参拝者等の公衆の観覧に供していたこと,被告らが,E4の死後である平成15年ころから平成18年ころまでの間に本件原観音像の仏頭部をすげ替え,被告光源寺がそのすげ替え後の本件観音像を本件観音堂内に祀り,参拝者等の公衆の観覧に供していることは,前記争いのない事実等のとおりである。
 
本件原観音像は,木彫十一面観音菩薩立像であって,11体の化仏が付された仏頭部,体部(躯体部),両手,光背及び台座から構成されているところ,11体の化仏が付された仏頭部が,著作者であるE4の思想又は感情を本件原観音像に表現する上で重要な部分であることは明らかである。
 
そうすると,本件原観音像の仏頭部のすげ替えは,本件原観音像の重要な部分の改変に当たるものであって,E4の意に反するものと認められるから,本件原観音像を公衆に提供していた被告光源寺による上記仏頭部のすげ替え行為は,E4が存しているとしたならばその著作者人格権(同一性保持権)の侵害となるべき行為(著作権法60条本文)に該当するものと認めるのが相当である。
 
これに対し被告光源寺は,E4が本件原観音像の仏頭部に満足しておらず,これを作り直すべきことを検討していたから,被告光源寺による本件原観音像の仏頭部のすげ替え行為は,E4の「意を害しないと認められる場合」(著作権法60条ただし書)に当たり,同条本文による禁止の対象とはならない旨主張する。
 
しかし,本件において,E4が本件原観音像の完成後にその仏頭部を作り直すことを考えていたことを認めるに足りる証拠はない。
 (略)
 
また,被告光源寺は,被告らによる本件原観音像の仏頭部のすげ替え行為は,「やむを得ないと認められる改変」(著作権法20条項4号)に該当し,本件原観音像についての同一性保持権侵害に当たらない旨主張しているので,念のためこの点についても判断する。
 
(略)
 
以上によれば,被告らによる本件原観音像の仏頭部のすげ替え行為が「やむを得ないと認められる改変」に該当するとの被告光源寺の主張は,採用することができない。

 ⇒控訴審参照











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