著作権重要判例要旨[トップに戻る]







60条の適用解釈が問題となった事例(3)
「慶大『ノグチ・ルーム』建物等民事仮処分申立事件」平成150611日東京地方裁判所(平成15()22031 

【コメント】本件では、建物全体、庭園及び彫刻が一体となって評価される「建築の著作物」の解体・移設工事が当該建築の著作物の同一性保持権を侵害するかが争われましたが、そのような解体・移設工事は、法科大学院開設という公共目的のために新校舎を大学敷地内という限られたスペースのなかに建設するためのものであり、しかも、できる限り著作者の意図を保存するため、可能な限り現状に近い形で復元するものであるから、当該工事は、法2022号にいう建築物の増改築等に該当するものとして、著作者人格権(同一性保持権)を侵害するものではないと認定したうえで、法60条但書との関係について以下のように判示しました。 

 著作者人格権は一身専属の権利であり,本来,著作者が存しなくなった後においてはその保護の根拠が失われるものであるが(同法59条),著作権法は,著作者が存しなくなった後においても,一定の限度でその人格的利益の保護を図っている(同法60条)。
 
この場合において,著作権法60条但書は,著作物の改変に該当する行為であっても,その行為の性質及び程度,社会的事情の変動その他によりその行為が著作者の意を害しないと認められる場合には,許容されることを規定している。
 
そして,著作者の意を害しないという点は,上記の各点に照らして客観的に認められることを要するものであるところ,本件においては,上記のとおり,本件工事は,公共目的のために必要に応じた大きさの建物を建築するためのものであって,しかも,その方法においても,著作物の現状を可能な限り復元するものであるから,著作者の意を害しないものとして,同条但書の適用を受けるものというべきである。
 
したがって,仮に本件工事について著作権法2022号が適用されないとしても,同法60条但書の適用により,本件工事は許容されるというべきである。











相談してみる

ホームに戻る