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一般不法行為の成否-否認事例D-
「『初動負荷』トレーニング理論事件」平成170712日大阪地方裁判所(平成16()5130 

 原告らは,自ら構築してきた独自の初動負荷理論と,その実践により得てきた社会的信用・名声の故に,「初動負荷理論」や「初動負荷トレーニング」といった名称を独占的に,あるいは,対価を得て第三者に専属的に利用させ得る法的救済に値する利益を有しているところ,被告らはこれを侵害したことによる不法行為責任を免れないと主張する。
 
しかしながら,原告Aが独自の初動負荷理論を自ら構築し,原告らにおいてその実践により社会的信用・名声を得てきたとしても,「初動負荷理論」や「初動負荷トレーニング」といった名称について,著作権等の知的財産権によらないで独占的な使用権を原告らに認めることはできない。すなわち,現行法上,営業や役務や理論や方法の名称の使用に関しては,商標法,著作権法,不正競争防止法等の知的財産権関係の各法律が,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に排他的な使用権を付与し,その権利の保護を図っているが,その反面として,その使用権の付与が国民の経済活動や文化的活動の自由を過度に制約することのないようにするため,各法律は,それぞれの知的財産権の発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,その排他的な使用権の及ぶ範囲,限界を明確にしている。これら各法律の趣旨,目的にかんがみると,「初動負荷理論」や「初動負荷トレーニング」といった理論やトレーニング方法の名称等の使用につき,法令等の根拠もなく名称の発案・使用者に対し独占的な使用権を認めることは相当ではないというべきである。
 
したがって,不法行為の被侵害利益として,原告らが主張する法的保護に値する利益は認められない
 
原告らは,被告会社及び被告Bは,原告Aが初動負荷理論という独自の理論の提唱者であり,原告らが同理論の実践を中心とした経済活動をしていることを熟知していたのであるから,被告会社が雑誌等の製作出版行為を行い,被告Bが本件記事の執筆を行う際,「初動負荷」理論について記述するならば,同理論については提唱者である原告Aを明示し,また内容を歪曲するなどして同理論の提唱・実践者である原告らの利益を侵害しないように注意すべき義務があったと主張する。
 
確かに,原告Aが初動負荷理論の提唱者として得ている社会的名声や,その実践によって原告らが得ている経済的利益を第三者が侵害することは許されるところではない。しかし,仮に原告ら主張のような事情を被告らが認識していたとしても,原告らにその理論や名称を独占的に使用する権利が認められない以上,被告らは自由にその理論や名称に言及して,同理論に関する記事を記述し得るのは当然であり,その記述が徒に原告らの名誉,信用を害するとか,営業を妨害するという内容のものでない限り,原告らに対する不法行為を構成するものではないというべきである。そして,本件記事にはそのような内容の記述も見当たらないから,被告らが本件記事において初動負荷理論の提唱者である原告Aを明示せず,また原告Aの考えるものと異なる内容を初動負荷理論の内容として記述したからといって,それが原告らに対する不法行為を構成するとはいえない。
 
以上より,不法行為に基づく請求は,その余について判断するまでもなく理由がない。











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