著作権重要判例要旨[トップに戻る]







国際裁判管轄-「特段の事情」-
「自動車買付
預託金返還請求事件」平成91111日最高裁判所第三小法廷(平成5()1660 

 被告が我が国に住所を有しない場合であっても、我が国と法的関連を有する事件について我が国の国際裁判管轄を肯定すべき場合のあることは、否定し得ないところであるが、どのような場合に我が国の国際裁判管轄を肯定すべきかについては、国際的に承認された一般的な準則が存在せず、国際的慣習法の成熟も十分ではないため、当事者間の公平や裁判の適正・迅速の理念により条理に従って決定するのが相当である(最高裁昭和561016日第二小法廷判決、最高裁平成8624日第二小法廷判決参照)。そして、我が国の民訴法の規定する裁判籍のいずれかが我が国内にあるときは、原則として、我が国の裁判所に提起された訴訟事件につき、被告を我が国の裁判権に服させるのが相当であるが、我が国で裁判を行うことが当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があると認められる場合には、我が国の国際裁判管轄を否定すべきである。
 
これを本件についてみると、上告会社は、本件契約の効力についての準拠法は日本法であり、本訴請求に係る預託金返還債務の履行地は債権者が住所を有する我が国内にあるとして、義務履行地としての我が国の国際裁判管轄を肯定すべき旨を主張するが、前記事実関係によれば、本件契約は、ドイツ連邦共和国内で締結され、被上告人に同国内における種々の業務を委託することを目的とするものであり、本件契約において我が国内の地を債務の履行場所とすること又は準拠法を日本法とすることが明示的に合意されていたわけではないから、本件契約上の債務の履行を求める訴えが我が国の裁判所に提起されることは、被上告人の予測の範囲を超えるものといわざるを得ない。また、被上告人は、20年以上にわたり、ドイツ連邦共和国内に生活上及び営業上の本拠を置いており被上告人が同国内の業者から自動車を買い付け、その代金を支払った経緯に関する書類など被上告人の防御のための証拠方法も、同国内に集中している。他方、上告会社は同国から自動車等を輸入していた業者であるから、同国の裁判所に訴訟を提起させることが上告会社に過大な負担を課することになるともいえない。右の事情を考慮すれば、我が国の裁判所において本件訴訟に応訴することを被上告人に強いることは、当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念に反するものというべきであり、本件契約の効力についての準拠法が日本法であるか否かにかかわらず、本件については、我が国の国際裁判管轄を否定すべき特段の事情があるということができる。したがって、本件預託金請求につき、我が国の国際裁判管轄を否定した原審の判断は、結論において是認することができ、原判決に所論の違法はない。











相談してみる

ホームに戻る