著作権重要判例要旨[トップに戻る]







プログラムの「使用」が問題となった事例
「銑鉄運搬車両制御プログラム事件」平成210226日大阪地方裁判所(平成17()2641 

【コメント】本件は、被告スチールが使用する「本件装置」に「本件プログラム」の複製物が組み込まれているところ、原告は、被告スチールが本件装置を使用するに当たり、相当額の本件プログラムの使用料を支払う旨の合意があった、仮に合意がなかったとしても、被告スチールは本件プログラムの使用により不当に利得しているとして、原告が、被告らに対し、本件プログラムの使用料支払契約(被告らに対する主張)ないし不当利得(被告スチールに対する予備的主張)に基づき、使用料ないし不当利得相当額の支払いを求めた事案です。 

 なお,原告は,原告が著作権を有する本件プログラムの複製を被告スチールに提供してその業務上の使用を許諾したにもかかわらず,その正当な対価が清算されていない,使用許諾にあたっては,使用料の額や支払方法についての合意はなくても,@商法512条,Aソフト使用料の支払に替わる本件5項目の代替措置の約束があったこと,B見積書にソフト使用料は除く旨の記載があったことから,上記の使用許諾の有償性は明らかであるから,当然に相当額の使用料の請求ができると主張する。しかしながら,適法に複製された著作物の複製物の使用は,後記のとおり,それ自体が著作権を侵害するものではないし,使用許諾をしたからといって当然に有償となるものではなく,対価を支払う旨の合意があって初めて使用料を請求できるものであるところ,本件の場合は,前記認定のとおり,本件プログラムの複製物の使用について,対価を支払う旨の合意があったことを認めることはできない(商法512条は,委任,準委任,事務管理など,他人のためにある行為をしたときは,有償の合意がなくても報酬請求できる旨を規定したものであるが,著作物の使用は,後記のとおり,許諾がなくてもできる(著作権を侵害するものではない)ものであるから,本件プログラムの開発費用についていうのであれば格別,被告スチールの使用それ自体について,原告は「他人のために行為をした」ということはできない。)。
 
(略)
 
原告は,被告スチールは法律上正当な理由がないのに,相当額の対価を支払うことなく本件プログラムを使用し,使用料相当額の利得を得ているので,不当利得が成立すると主張する。
 
本件では,原告は,本件プログラムの複製物(本件プログラムが書き込まれた部品であるロム)を作成して本件装置に設置し,本件装置は,最終的に被告スチールに納入されたものであるところ,上記の本件プログラムの複製は,著作権者である原告自身が行ったものであるから,原告の著作権を侵害するものではない。そして,被告スチールの行為は,適法に複製された本件プログラムの複製物を本件装置において使用しているにすぎないものであるところ,その行為は,著作権法第二章第三節第三款「著作権に含まれる権利の種類」(21条ないし28条)に規定されている権利のいずれを侵害するものでもないし,複製が適法である以上,著作権法1132項の場合にも該当しない。
 とすれば,被告スチールが,原告により作成され納入された本件プログラムの複製物を使用しても,原告に何らかの損失が生じたものということはできない。よって,不当利得に基づく原告の請求は理由がない。
 
原告は,被告らに本件プログラムの使用料を支払う意思がないことを知っていれば,本件プログラムの複製物の貸与ないし譲渡はしなかったので,その貸与ないし譲渡は要素の錯誤により無効であり,被告スチールには正当な使用権原はなかった,本件プログラムの複製物の代金は未清算であったから,本件プログラムの複製物の所有権は原告に留保されていた,にもかかわらず,被告スチールは,使用料を支払うことなく本件プログラムを使用して,使用料相当額の利得をしたと主張する。
 
原告の主張するところと,本件プログラムの著作権に関する不当利得の主張との関係は明らかではないが,仮に,原告が動機の錯誤により本件プログラムの複製物を納入したものであったとしても,原告自身による本件プログラムの複製が違法なものとなることはないので,被告スチールの本件プログラムの複製物の使用について,原告に損失が生ずることとなるものではない。
 
また,原告の主張は,本件プログラムの複製物すなわちロム自体の所有権について,原告が所有権留保しているので,被告スチールによるその使用は不当利得となるという主張とも解せられるが,仮に,原告にロム自体の所有権が留保されていたとしても,ロム自体の使用について,すなわちロム自体の所有権侵害による不当利得になることはあったとしても,本件プログラムの使用について,すなわち本件プログラムの著作権侵害による不当利得になることはないので,原告の主張は失当である。











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